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2010年05月19日

ビデオゲームで米国人の運動不足を解消 米心臓病学会

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運動療法
 米国心臓学会(AHA)が任天堂と協力し、家庭用ビデオゲーム機を利用し、米国民の運動不足の解消や肥満対策に乗りだすと発表した。
 米国で過去20年で肥満が爆発的に増加し、成人のおよそ3人に1人が肥満。いまや肥満は「流行病」とまでいわれるようになり、緊急の対策が必要とされている。

 いまや肥満は米国で「流行病」といわれており、緊急の対策が必要となっている。米国成人の肥満者の割合は約34%で、2008年に37州で肥満の割合が増加したと報告された。肥満は心血管病(CVD)、がん、2型糖尿病などの危険因子となる。肥満や過体重により引き起こされる病気の年間医療費は1170億ドル(約10.7兆円)と見積もられている。
アクティブなゲーム機で運動不足を解消
 米国心臓学会(AHA)の発表によると、米国人の運動不足は深刻だという。成人は週150分以上、子供は毎日60分の適度な運動を行うことを奨励しているが、米国人は1日に平均約8時間を座ってすごし、70%が定期的な運動を行っていない。

 そこで、AHAは米国で普及している任天堂の家庭用ゲーム機に着目。今回発表されたキャンペーンは、任天堂に協力してもらい、任天堂が販売する「Wii Fit Plus」「Wii Sports」などの体を動かす要素を取り入れたビデオゲームを利用し、米国人の運動不足に一石を投じるというもの。

 今夏からWii本体とシリーズ向けのビデオゲームソフト「Wii Fit Plus」「Wii Sports Resort」にAHAのロゴを表示するほか、インターネット上でオンライン情報センターを公開し、AHAのチャリティーイベントなどでWii Fit PlusやWii Sportsを展示するという。

 運動や身体活動を行った場合と、ゲーム機で遊んだ場合とで比較した研究では、実際にスポーツに参加したときの方が運動量は多いという結果になった。しかし、米国の成人や子供がテレビの前に座ったまま過ごす時間を減らすために、一部のゲーム機を利用するのは有用だと判断した。

 AHAでは、「健康にもらたらす有益性からみると、ゲーム機で得られる運動量は、必ずしも十分ではないかもしれない」としながらも、「どんな身体活動であっても、何もしないでいるよりは良い」と述べている。

 ソファーやリクライニングチェアに座ったまま安静にしている場合と、立ち上がって活動したり移動する場合とでは、身体活動量に差が出る。日常で体を動かす機会を積み重ねることが、身体活動量の増加につながる。

 AHAでは「運動の習慣化や、健康的な食事や食品の選択を促す教育プログラムの開発も同時に進める」としている。

American Heart Association response to Good Morning America segment(米国心臓学会)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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