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2010年07月20日

小学生に歩数計を渡してウォーキング 運動不足に対策 【徳島県】

 徳島県は児童の体力低下に対し支援策を講じている。夏休みを前に、県内の小学生約1万4000人以上に歩数計を貸与し、ウォーキングの習慣化を促す取り組みも開始した。
徳島県の小5男子の体力は全国最下位
徳島県の「子どもの体力・運動能力向上支援プラン」
 子供の体力低下が全国的にみられるが、徳島県でもその傾向が顕著だ。文部科学省が実施した「体力・運動能力調査」で、徳島の児童の体力不足の実態が浮き彫りになっている。徳島県の児童の体力は全国平均を下回っており、小学校5年男子の体力合計点(80点満点)は51.80点で、全国で最下位の47位だった。

 小5女子は52.98点で41位、中2男子が39.97点で37位(38位)、同女子が45.79点で38位(37位)で、種目別で全国平均を上回ったのは小5女子のソフトボール投げ(15.00m)、中2の握力(男子30.73kg、女子24.21kg)のみだった。

 5歳から17歳の肥満傾向児の割合も、年々減ってきてはいるが全国平均よりも高い。大人と同様に子供をとりまく生活環境や社会的環境は大きく変化しており、運動時間が少なかったり、運動をしない子が増えているとみられている。子供の運動不足や肥満傾向は、将来に2型糖尿病などの生活習慣病の発症につながるおそれがある。

子どもの体力・運動能力を向上する対策
 そうした現状を改善しようと、県は「運動が好きな子供たちを育てるために、学校・家庭・地域などの連携した取り組みが必要」として、2009年に「子どもの体力・運動能力向上対策委員会」を立ち上げ、地域や家庭、医師会などと協同で対策している。

 2007年から公立小学校の全児童を対象に「体力アップ100日作戦!」を実施。「早寝・早起き・朝食」「午後10時前就寝・テレビ3時間以内」「朝の校庭ウォーキング」「縄跳び」「ラジオ体操」「ダンス・エクササイズ」「外遊び」「3分間ストレッチ体操」など、子どもの体力アップにつながる目標を設定した。

 目標が達成できた日に、学級担任や保護者に配布した「体力アップ100日作戦!」カードにチェックをし、子供を褒めてあげるという方法が好評で、2007年度には84.0%だった達成率は、2009年には94.7%に向上した。徳島県の糖尿病による死亡率は全国トップ。子供が運動をする機会を増やすことが、将来の糖尿病予防にもつながると期待されている。

児童に歩数計を貸与し夏休み対策
 運動への取り組みは、夏休みにも続けることが好ましい。そこで着目したのが、手軽にどこでもできて毎日の運動量を増やすのに有用なウォーキング。児童に歩数計を貸与することで、歩数を記録し確認する習慣を身につければ自然に運動量を増えていくはずだと考えた。

 歩いた距離を記入し、四国遍路を疑似体験できる地図も配布する。地図には四国八十八カ所の霊場が記され、歩数を距離に換算して書き込めるようになっている。遍路道は約1400km。児童の歩幅を50cmとすると、踏破するには1日1万歩で約280日かかる計算だ。その他にも、日常生活での掃除などの手伝い、犬の散歩、スポーツ少年団や地域のスポーツイベントへの参加、ハイキングや海水浴などの運動も奨励する。

 県体育健康課では「夏休みを前に児童が運動に親しむ機会を増やしたい。県の児童生徒の体力・運動能力の平均値は全国平均より低いが、その差はわずかなもの。運動習慣をつけ運動感覚を養うことで、児童は体を動かす楽しさを味わえるようになる。地道な努力を続けて生活習慣病予防につなげたい」と述べている。

徳島県教育委員会
徳島県 子どもの体力向上支援プラン
徳島県 児童生徒の体力・運動能力調査

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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