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2010年12月01日

国民医療費、過去最高の34.8兆円 国民所得の1割に

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 厚生労働省は、国民が1年間に使った医療費を示す国民医療費が、2008年度は前年度比2.0%増の34兆8084億円となり、前年度(34兆1360億円)より6725億円増え、過去最高を更新したと発表した。10年前の国民医療費に比べ1割以上増えており、今後も増え続けると予測している。
医療費の国民所得に対する割合が1割に迫る
 国民医療費は、全国の医療機関で保険診療の対象となる病気やけがの治療に要した費用を推計したもの。高齢化などの影響もあり医療費の負担は膨らんでおり、また不景気のあおりで国民所得が減少したことが影響し、医療費の国民所得に対する割合は9.9%と1割に迫った。(1 国民医療費の状況)

 医療費をまかなう財源のうち、保険料が占める割合は48.8%、国と地方が税金から支出する公費の割合は37.1%だった。政府が75歳以上の保険料の上昇を抑える措置をとったことなどが影響し、公費が占める割合が増えた。患者が医療機関の窓口で支払う患者負担が占める割合は14.1%で、前年度から1145億円増えた。(3 財源別国民医療費)

 国民1人当たりの医療費も27万2600円で、前年度(26万7200円)より2%増え、過去最高だった。年齢階級別にみると、医療費は65歳未満に比べ、65歳以上で4倍に増え、75歳以上では5倍に増える。(5 性、年齢階級別国民医療費)

 1人当たり国民医療費は、65歳未満は15万8900円、65歳以上は67万3400円となった。うち一般診療医療費では65歳未満が11万4200円、65歳以上が51万7400円となった。薬局調剤医療費では、65歳未満が2万4600円、65歳以上が10万4500円となった。

糖尿病の医療費は1兆1893億円
 主な傷病別に医療費をみると、「循環器系の疾患」が5兆2980億円(20.4%)でもっとも多く、次いで「新生物(がん)」3兆3121億円(12.8%)、「呼吸器系の疾患」2兆186億円(7.8%)、「腎尿路生殖器系の疾患」1兆9273億円(7.4%)、「筋骨格系及び結合組織の疾患」1兆9223億円(7.4%)となった。(6 性、傷病分類別一般診療医療費)

 男女別にみると、男性では「循環器系の疾患」、「新生物」、「腎尿路生殖器系の疾患」が多く、女では「循環器系の疾患」、「新生物」、「筋骨格系及び結合組織の疾患」が多かった。

 糖尿病の医療費は1兆1893億円で、前年度に比べて422億円増えた。総数は65歳未満で4276億円(36%)なのに対し、65歳以上では7616億円(64%)で、65歳以上は3分の2近くを占めている。ただし、これには糖尿病合併症の医療費は含まれておらず、それらを含む糖尿病の医療費全体ではもっと多い額になる。(性、傷病分類、入院− 入院外、年齢階級別一般診療医療費)

 診療種類別にみると、一般診療医療費は25兆9595億円(74.6%)、そのうち入院医療費は12兆8248億円(36.8%)、入院外医療費は13兆1347億円(37.7%)。また、歯科診療医療費は2兆5777億円(7.4%)、薬局調剤医療費は5兆3955億円(15.5%)、入院時食事・生活医療費は8152億円(2.3%)となった。

 高齢者増加などの影響で、今後も国民医療費は増え続ける見込み。厚労省は「10〜25年度に平均で年2.2%程度増える」と予測している。

平成20年度国民医療費の概況(厚生労働省)

結果の概要
1 国民医療費の状況
2 制度区分別国民医療費
3 財源別国民医療費
4 診療種類別国民医療費
5 性、年齢階級別国民医療費
6 性、傷病分類別一般診療医療費

統計表
第1表 国民医療費、人口一人当たり国民医療費及び対国民所得比率の年次推移
第2表 制度区分別国民医療費及び構成割合の年次推移
第3表 財源別国民医療費及び構成割合の年次推移
第4表 診療種類別国民医療費及び構成割合の年次推移
第5表 性、年齢階級、一般診療−歯科診療別国民医療費、構成割合及び人口一人当たり国民医療費
第6表 性、傷病分類、入院−入院外、年齢階級別一般診療医療費

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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