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2011年08月25日

日本糖尿病学会「HbA1cに関する記述の原則と実例」を公表

 日本糖尿病学会(門脇 孝 理事長)はこのほど、「改訂糖尿病診断基準とHbA1cに関する記述の原則と実例」を公表した。HbA1cの国際標準化については決定済みだが、変更の時期については明示されなかった。

 日本糖尿病学会は、2010年7月に施行した糖尿病診断基準とその運用のポイントとして以下を示した。
  1. HbA1cをより積極的に糖尿病の診断に取り入れ、糖尿病型の判定に新たにHbA1c値の基準を設ける。
  2. 血糖とHbA1cの同日測定を推奨し、血糖値とHbA1c値の双方が糖尿病型であれば1回の検査で糖尿病と診断可能にして、より早期からの糖尿病の診断・治療を促す。
  3. 現行のJDS値で表記されたHbA1c(JDS値)と、それに0.4%を加えNGSP値に相当する国際標準化された新しいHbA1c(国際標準値)を会誌『糖尿病』に掲載している「運用の実際」にのっとり適切に使用する。

 このうち、日本で使用されているJDS値で表記されたHbA1cは、 世界に先駆けて精度管理や国内での標準化が進んでいる一方で、海外で使用されているNGSP値に比べ約0.4%低い値となっている。

HbA1c(国際標準値)=HbA1c(JDS値)+0.4% ≒HbA1c(NGSP値)

HbA1cの国際標準化
HbA1cの国際標準化

出典:日本糖尿病学会「改訂糖尿病診断基準とHbA1cに関する記述の原則と実例」(一部改変)
 同学会は「糖尿病の診断・治療・研究におけるグローバル化の重要性を鑑みHbA1cの国際標準化が必須である」との見解を示し、「現行のJDS値で表記されたHbA1c(JDS値)に0.4%を加えた、NGSP値に相当する国際標準化された新しいHbA1c(国際標準値)を使用することとする」と述べている。

 すでに英文誌や国際学会の発表においては、HbA1c(国際標準値)が使用されているが、日常臨床・検診・健康診断などでは、引き続き現行のHbA1c(JDS値)を用い、その後国際標準化された新しいHbA1c(国際標準値)に全国一斉に変更する予定としている。

 ただし、HbA1cのJDS値からNGSP値の移行については「十分な広報活動を行う」としながらも、その具体的な日時については明言されなかった。

 なお、日本の糖尿病患者の予測数については、「ただちに日本の糖尿病患者総数が増えるわけではない」と説明している。

(社)日本糖尿病学会

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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