ニュース
2013年02月20日
座ったまま過ごす時間を減らしウォーキング インスリン抵抗性を改善
- キーワード
- 運動療法
「運動ジムに通いたいが、なかなか時間をとれない」という人は多いのでないだろうか。そんな人に朗報だ。「軽度のウォーキングなどの運動をする時間を増やせば、激しい運動を短時間行うよりも、健康増進に効果的につなげることができる」という研究が発表された。
「健康のために運動をしている人は多くいます。しかし、激しい運動を集中して1時間行ったとしても、1日の大部分を座って過ごしていたら、あまり意味はないかもしれません。座ったまま過ごす時間を減らすことが、インスリン抵抗性や血中脂質の改善につながるのです」と、オランダのマーストリヒト大学のハンス サーベルベル博士は言う。 研究チームは、19〜24歳の18人の若者を対象に実験を行った。参加者を無作為に、(1)運動をしないで、1日14時間座ったまま過ごす、(2)13時間座ったまま過ごし、1時間だけエルゴメーターを使い活発な運動をする、(3)6時間座り、軽いウォーキングを4時間、2時間は立ったまま過ごす――という3つのグループに分けた。 検査を行い、インスリン抵抗性と血中脂質レベルを調べた。もっとも改善していたのは(3)のグループだった。 インスリンは、血液中のブドウ糖を細胞内に取り入れエネルギーとして利用する際に必要となるホルモン。インスリンは分泌されているが、体のインスリンに対する感受性が低下している状態を「インスリン抵抗性」という。 インスリン抵抗性は糖尿病を悪化させる原因となるほか、糖尿病の前段階といえる肥満やメタボリックシンドロームとも関連が深い。興味深いことに、もっともインスリン抵抗性が改善していたのは、立ったまま過ごす時間が長い人だった。 運動の消費エネルギーが同じくらいでも、立ったまま過ごす時間が長い人では、コレステロール値や中性脂肪値、善玉のHDLコレステロール値がより改善していたという。 「ジムに通って筋トレをしているので、健康には自信がある」という人も、勤務先や自宅で座りきりで過ごしていれば、運動の効果は半減するかもしれない。 「インスリン抵抗性やコレステロールや中性脂肪を改善するために理想的なのは、1日をなるべく立ったまま過ごし、軽いウォーキングなどの運動を長時間行うことです」と、サーベルベル博士は言う。 「勧められるのはゆったりとしたペースで歩いて、座らないようにする生活パターンであることが分かりました。ウォーキングのような中強度の運動を行い立ったまま過ごす時間を増やせば、激しい運動をしなくとも、運動の効果を得ることができます」(サーベルベル博士)。 Minimal Intensity Physical Activity (Standing and Walking) of Longer Duration Improves Insulin Action and Plasma Lipids More than Shorter Periods of Moderate to Vigorous Exercise (Cycling) in Sedentary Subjects When Energy Expenditure Is Comparable( PLOSONE 2013年2月)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
運動療法の関連記事
- わずか20分のウォーキングで糖尿病や高血圧を改善 座ったままの時間の長い人は立ち上がって運動を
- 糖尿病は運動不足の影響がもっとも大きい ウォーキングなどの運動で合併症を予防 筋肉を減らさないことが大切
- 日光を浴びると2型糖尿病の人の血糖管理が良くなる 自然光を浴びるとメンタルヘルスも改善
- 食事や運動を見直して糖尿病リスクを低下 成功した人が共通して行っていることとは? 8項目の健康習慣
- わずか10分の「階段の上り下り」が立派な運動になる 運動で糖尿病を改善 短い時間に集中して運動
- 糖尿病の人のメンタル不調を「7つの生活スタイル」で低減 ソーシャルメディアの有効活用もうつ病を軽減
- 睡眠で糖尿病を改善 良い睡眠はメンタルヘルスも高める 快眠に必要な2つのこととは?
- 運動で糖尿病や高血圧を改善 ヨガやストレッチは効果が高い 夕食後の運動にも効き目が
- 認知症を予防するための[食事・運動・睡眠]は糖尿病の治療と共通 9月は「世界アルツハイマー月間」
- ウォーキングの歩数を8000歩に増やして糖尿病を改善 横浜市の「ウォーキングポイント事業」の成果を発表