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2013年08月06日

睡眠の質を高める工夫 睡眠と生活スタイルは密接に関連

キーワード
睡眠と糖尿病
 夏は気温が高く、日照時間も長い。質の良い睡眠を妨げる条件の多い時期だ。夜の睡眠が障害されると、眠気やだるさ、集中力低下など日中にも障害があらわれる。「小さいことを改善するだけでも、睡眠の質を高めることができます」と専門家はアドバイスしている。
睡眠と生活スタイルは密接に関連している
 健康のために睡眠はとても重要だ。睡眠は、心身の疲労回復をもたらすとともに、免疫機能を強化するといった役割ももっている。健やかな睡眠を保つことは、活力ある日常生活につながる。

 慢性の睡眠障害に苦しむ米国人は約4,000万人に上り、良好な睡眠を得られないことにより、米国だけで年間に約1.7兆円(180億ドル)の経済的損失がもたらされているという。

 「睡眠障害というと不眠症を考えがちですが、不眠症以外にもさまざまな病気があります。多くの人々が睡眠の問題を抱えていますが、頭の中で羊の数を数えるといった簡単な方法で解決できるものではありません」と、米ロヨラ大学ゴットリーブ記念病院のジョン ウィルソン氏(神経科学)は言う。

 寝つきが悪い、途中で起きてしまい再入眠できない、朝早く起きてしまう、熟睡できないといった「不眠」に関する症状や、反対に日中眠くてしかたないといった「過眠」に関する症状は、どれも睡眠障害のサインだ。

 ウィルソン氏は、日常生活でちょっとした注意をすることで睡眠の質を改善できるとアドバイスしている。

●リラックスする
 就寝の1時間前までに、心を静かにして、リラックスして過ごす。汗をかくような強い運動も控える。

●携帯電話やスマートフォンに触らない
 就寝前に携帯電話やスマートフォン、パソコンなどの情報端末を操作すると、脳は情報処理のために活性化し、リラックスできなくなる。
 メッセージの作成や電子メールの送受信は、眠る前には行わないようにする。スマートフォンやパソコンを別の部屋に置いて、真夜中に目を覚ましたときにも触らないようにする。

●部屋を暗くする
 明るい光は脳と体を覚醒させるので、寝室の照明を暗めにする。
 間接照明を使う、遮光カーテンを活用し、夜明けとともに部屋が明るくならないようにする、などの工夫で寝室の環境を整えることができる。
 テレビやスマートフォンなどのディスプレイの光も、刺激になるので注意が必要だ。予想している以上に強い光なので、見続けていると覚醒しまうことがある。

●室温と湿度を調整する
 部屋の温度や湿度が高くても低くても、睡眠の質は低下する。質の良い睡眠のためには、室温26℃程度、湿度は60%前後が適している。
 室温が高すぎると深部体温が下がりきらず、深い睡眠やレム睡眠が減少して中途覚醒しやすくなる。冷房のタイマーを使う場合には、就寝2〜3時間後まで快適な室温と湿度を維持するように設定する。
 寝具やベッドウェアも季節に合った快適なものを選ぶ。

●食事は就寝の2時間前までに済ませる
 夕食は、最低でも寝る2時間前には終わらせる。食後にすぐに眠ると、胃の中に食べたものが残っており、就寝後も消化活動により胃が働き続けるため、覚醒しやすくなる。腹八分目を守り、夕食後のカフェインも避けよう。
 アルコールにも注意が必要だ。適当な量のアルコールは、緊張をほぐし、不安を軽減し、眠気をもたらす作用があるが、飲酒して寝入っても、時間がたつと眠りが浅くなって、早朝覚醒が起こりやすくなる。アルコールはほどほどにするのが効果的だ。

●規則正しい生活が快眠につながる
 快眠は規則正しい睡眠習慣によって得られる。ベッドに入る時刻が毎日バラバラであれば、快眠は得られにくい。
 体には体内時計が備わっており、睡眠のタイミングを決めるだけではなく、前もってホルモンの分泌や生理的な活動を調節し、睡眠に備えてくれる。規則正しい生活が体内時計を整え、質の良い睡眠を引き出す秘訣となる。

●家族で睡眠に取り組む
 一緒に生活している家族と相談し、快眠を得るための計画を共有するのは効果的な方法だ。就寝や起床の時間も規則正しくなり、睡眠のための環境も向上することが多い。

●睡眠薬による治療
 医師が処方した睡眠薬を服用すると、寝つきが悪い、途中で起きてしまう、早くに目が覚めてしまう、などの不眠症状に効果がある。
 不眠の症状は、はじめは一時的なものであっても、不眠と心身のストレスが互いに悪影響を及ぼして、症状がどんどん複雑なものになるおそれがある。薬にはその悪循環を早めに絶つ働きがある。
 治療薬は医師に指示された用法や用量を守って正しく使用しよう。

Advice for Insomniacs on How to Get a Good Night's Sleep(ロヨラ大学 2013年6月28日)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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