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2013年09月13日

卵を1日1個食べても心臓病や脳卒中のリスクは上昇しない

卵を1ヵ月食べないと血中コレステロール値が変化
 体内にあるコレステロールの3分の2以上は体内で合成されている。健康な人が食事でコレステロールをとり過ぎると、体内での合成が減り、それでも多すぎる場合は肝臓などにためられ、血中コレステロールは一定に保たれる。

 コレステロール値が高くなっている人は、このシステムに乱れが生じて、コレステロールを蓄積しやすくなっていている。体内で合成されるコレステロールの方が多いとはいっても、安心はできない。動物性食品を多く食べると、コレステロール値は上昇しやすくなるからだ。

 「心臓病や脳卒中を予防するために、血中のコレステロールを適正に管理する必要があります。しかし、高コレステロールの原因を、卵などの特定の食品の求めるのではなく、食生活全体を見直すべきかもしれません」と、フー教授は話す。

 肉の脂身や霜降り肉、バター、生クリームやアイスクリームはなどの動物性食品には、飽和脂肪酸が多く含まれる。飽和脂肪酸をとりすぎると、血中のLDL(悪玉)コレステロールを上昇しやすくなる。逆に体内のコレステロール値を下げる働きをするのは、不飽和脂肪酸を多く含む食品だ。

 ベーコンやソーセージ、バターを塗ったトーストなど、動物性食品を多く摂取する食事スタイルが定着している米国人は、心臓病の発症率が高い。しかし、日本人は平均すると1日に1個ぐらいの卵を食べているにも関わらず、不飽和脂肪酸も比較的多く摂取しているので心臓病の発症率が低いという。

 「もしもあなたが、米国式の食事スタイルをもっていてコレステロール値が高いのなら、卵を控えた方がよいかもしれません。そして、野菜や果物などの食物繊維を多く含む食品を増やすべきです」と、フー教授はアドバイスしている。

 卵が高コレステロールの原因として疑われる場合には、卵を1ヵ月食べるのを控えて、コレステロール値に影響があるかを確かめてみる方法があるという。コレステロール値が下がった場合は、卵を食べるのを控えた方が良い。

 卵は脂質やタンパク質以外にも、体に良い栄養成分を豊富に含んでいる。米国農務省農業研究局は、現在の卵は昔に比べてコレステロールが減少しており、ビタミンDは増加していると報告している。

 卵には13種類の必須ビタミンとミネラルが含まれる。これらの栄養素は、他の食品には十分に含まれていない。卵はサプリメントのように有用な栄養素を濃縮した、効率的な食品といえる。

 卵黄に多く含まれるレシチンは、細胞膜や神経組織を構成するコリンの供給源で、老化やボケ防止にも役立つとされる。また、免疫力を高めるビタミンAや、新陳代謝を活発にするビタミンB群も含まれる。

 その他に、骨や歯を丈夫に保つのに必要なビタミンDや、脳機能を正常にするのに必要なコリン、抗酸化作用をもつルテインとゼアキサンチンも含まれる。ゼアキサンチンは、黄斑変性症や白内障の予防に対する効果があるとされる。

Egg consumption and risk of coronary heart disease and stroke: dose-response meta-analysis of prospective cohort studies(BMJ 2013年1月7日)
Egg Harvard School of Public Health(ハーバード大学公衆衛生大学院)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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