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2013年10月09日

メトホルミンの可能性 がんの死亡リスクを低減

メトホルミンはインスリン産生量を増大させない
 国立国際医療研究センター病院糖尿病・代謝・内分泌科の能登洋氏らは2012年に、メトホルミンとがん罹患、がん死亡に関する文献をレビューし、解析した結果を報告している。

 メトホルミンを服用していた糖尿病患者では、服用していなかった患者と比較して癌死・発癌とも確率が確実に減少していたことが明らかになった。

 他にメトホルミンの抗がん効果を指摘した研究の概要は以下のとおり――

  • 前立腺がん患者に、前立腺摘出術前にメトホルミンを投与した結果、摘出された前立腺内のがん細胞の増殖が遅くなっていることが判明した(米プリンセスマーガレット病院)。
  • 膵臓がんと糖尿病を合併する患者がメトホルミンを服用をすると、2年後生存率はメトホルミン服用群では約30%であったのに対し、非服用群では15.4%だった(米テキサスMDアンダーソンがんセンター)。
  • 卵巣がんと診断され、診断時にメトホルミンを服用していた患者5年生存率は67%なのに対し、非服用群の生存率は47%にとどまった。(メイヨークリニック)
  • マウスにおいて、メトホルミンは肝腫瘍の増殖遅延効果を示した(米メリーランド大学医学部)。
  • マウスにおいて、メトホルミンが口腔がん病変の細胞数減少とサイズ縮小もたらした(米国立歯科衛生研究所)。

 一部の研究者は、インスリンおよびインスリン様成長因子が一部のがんを促進する可能性がある点、また2型糖尿病患者は診断される前に血液中のインスリンレベルが高い状態が何年も続いていることが多い点を指摘し、メトホルミンはインスリン産生量を増大させないため、がんの成長を抑える可能性があると述べている。

Metformin Use and All-Cause and Prostate Cancer-Specific Mortality Among Men With Diabetes(米国臨床腫瘍学会 2013年8月5日)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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