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2015年12月18日

尿糖チェック研究で血糖と尿糖の相関性が明らかに

 2013年から行われた尿糖検査の有用性を検証する研究は、血糖値と尿糖値の相関性を明らかにし、その有用性を広めるものとなりました。糖尿病ネットワークの尿糖連載の第9回では、主任研究者の加藤光敏先生(加藤内科クリニック院長)と管理栄養士の加藤則子先生(同医院)による感想、監修者・宇都宮一典先生(東京慈恵会医科大学主任教授)の総評をまとめ、公開しました。
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 日常生活のどのようなシーンで血糖値が上がり、尿糖が出るのかを分析するというこの実証研究では、尿試験紙、デジタル尿糖計、血糖自己測定(SMBG)、CGM(持続血糖測定)、体重計、歩数計、活動量計を駆使して、糖尿病患者さんの生活をモニタリングするというものでした。研究成果は当連載にとどまらず、日本糖尿病学会や日本病態栄養学会などでの発表など、認知を広める活動にもつながっています。

 監修した宇都宮先生は、「良い意味で予測を裏切らない結果でした。血糖と尿糖はきれいに相関しており、日常生活の振り返りとして、尿糖自己測定の有用性を示していると言えるでしょう」とコメントを寄せています。

 加藤先生への質問をいくつかご紹介します。

Q. 研究の感想をお願いします

Dr. 加藤:まず率直にとても面白かったです。食事内容や運動の有無によって血糖値はどう変動するのか、そして血糖値と尿糖値の相関はどう表れるのか?頭の中で想像していたことを数値化し、ビジュアルで明らかにすることができました。これを見た医療従事者は、患者さんの血糖・尿糖の動きを1つのイメージとして理解しやすくなったのではと感じています。

Q. 尿糖はどのような形で活用できますか?

Dr. 加藤:空腹時は正常だけど食後に血糖値が高くなるIGT(境界型)の方には、食後の血糖チェックの代わりとして尿糖チェックを行い、意識を持つことにも活用できます。糖尿病患者さんにとっては、尿糖を出さないことが、血糖コントロールのチェック、目標になると思います。尿糖チェックは、尿糖の出ない時間をできるだけ長くすることは、食前後の血糖値170〜180mg/dL以内という目安になります。そのなかで、血糖値が高い人は、朝一番だけでも尿糖が出ないよう努力してみてください。そして、もし空腹時に尿糖が出ている状態であれば、血糖値がかなり高値であることを認識しなくてはならないということです。

Q.尿試験紙とデジタル尿糖計は、どう使い分けたらよい?

Dr. 加藤:尿試験紙はコストが最大の魅力です。使い方も簡便でトイレに流せるタイプもあるので、尿糖チェックを行うならまずは尿試験紙がお勧めです。デジタル尿糖計は数値がわかるので、しっかりコントロールしたい人向け。最近発売された5,000mg/dLまで測定できるプロフェッショナル版も人気があるそうです。

Q. 本研究で、尿糖チェックの有用性について、どのようにお感じになりましたか?

Dr. 加藤:ご存知のように、血糖値は測定したその時点の数値ですが、尿糖は前の排尿から次の排尿まで時間幅での変化を見ることができます。いわゆる、“点ではなく面”です。

関連情報

5種類の計測機器で糖尿病患者さんを1週間モニタリング
「食後高血糖に対する尿糖チェックの有用性研究」症例報告

はじめに:この研究について
研究の実施概要
症例検証:Case1 Aさんの場合(40歳代男性、2型糖尿病、病歴0.5年)
症例検証:Case2 Bさんの場合(56歳/男性、2型糖尿病、病歴:0.5年)
本研究を通しての考察
まとめ「血糖と尿糖の相関性、尿糖チェックのこれから」new

自宅ですぐに効果が見える! 尿糖チェックで糖尿病コントロール

[ DM-NET ]
日本医療・健康情報研究所

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