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2016年07月08日

外食で失敗しないコツ これだけ知れば糖尿病リスクを下げられる

 糖尿病の食事療法で失敗しやすい要因のひとつは外食だ。外食の頻度が高い人では、糖尿病リスクが上昇することが、10万人を26年間追跡して調査した研究で明らかになった。米国栄養士会は、外食で失敗しないためのコツを紹介している。
家で食事をすることが多い人は糖尿病リスクが低い
 外食の頻度が少なく、家で食事をすることの多い人は、糖尿病リスクを低下できることが、ハーバード大学公衆衛生大学院の研究チームが約10万人を26年間追跡して調査した研究で明らかになった。

 研究チームは5万8,051人の女性看護師を1986~2012年に、4万1,676の男性医療従事者を1986~2010年に、それぞれ追跡して調査した。参加者は健診を定期的に受け、食事についてのアンケートに回答した。

 参加者は研究開始時には糖尿病を発症していなかったが、平均26年間で9,356人が2型糖尿病を発症した。解析した結果、家で食事をすることが多く、外食が少ない人ほど、糖尿病を発症する危険性が低いことが判明した。
外食はカロリーが多く、栄養バランスが乱れやすい
 解析した結果、週に5~7回、夕食を家でとっている人は、週に2回しか家でとらない人に比べ、2型糖尿病を発症する危険性が15%低いことが明らかになった。また、家で昼食をとっている人は、そうでない人に比べ、糖尿病を発症するリスクが9%低かった。

 「外食はカロリーが多く、栄養バランスが乱れやすい傾向があります。家で食事を作ったときに比べ、脂肪が多く、ビタミンやミネラルなどの栄養素は少なめになります」と、ハーバード大学公衆衛生大学院のジェン ゾン氏は言う。

 家で食事をする人のほうが、野菜や果物を多く食べており、体に良い全粒粉や玄米を食べる頻度も高かった。外食ではコーラやジュースなどの高カロリーの清涼飲料を多く飲む傾向がみられた。アルコールの摂取も、外食の方が多かった。

 さらに、家で食事を作ることの多い女性は、そうでない女性に比べ、家事などの身体活動を多くこなしており、ウォーキングなどの運動の量も多い傾向がみられた。
外食が増えるのに合わせて糖尿病も増えていった
 「食事は生活においてもっとも基本的なものです。何をどう食べるかで、長い間に健康に大きな影響をもたらします。毎日の食事でご自分が何を選んでいるか、よく考えてみるべきです」と、ゾン氏は指摘する。

 さらに、家で食事をする頻度の高い人は痩せており、肥満が少ない傾向も示された。多く家で食事を作る頻度がもっとも多い人では、肥満の割合が14%少なかった。

 「先進国で外食が増え始めたのは、およそ50年前のことです。ちょうど同じ頃から2型糖尿病の有病者も増え始めており、両者は関連しています」と、ゾン氏は指摘する。

これだけ知っていれば外食で失敗しない 7つの方法で外食を上手に利用
 米国栄養士会は、糖尿病の人が外食を利用するときに、次のことに注意するようアドバイスしている。

1 メニューの栄養表示を見る

 レストランなどでは、注文する前にメニューにカロリーや栄養の表示があるかを確認しよう。栄養表示があれば、より健康的な料理を注文できるようになる。インターネットで栄養表示を公開しているレストランもあるのでチェックしよう。

2 量を選べるメニューでは「小」を選ぶ

 ポテトやハンバーグなど、量や大きさを選べるメニューがある場合は、なるべく小さなサイズを選び、代わりに野菜サラダを注文する。ゆっくり食事をして咀嚼回数を増やせば、脳に満腹を伝える信号が届きやすくなり、小さいサイズでも満足感を得やすくなる。

3 健康的なメニューを選ぶ

 健康的な食事を実現するために、何が足りないか考えてみよう。野菜が足りないとときは野菜サラダを追加する。レストランによっては、より健康的なアイテムに交換してくれるところもあるので、メニューにないか探してみよう。
 白飯に変わりに玄米や雑穀米、白パンの代わりに全粒粉パン、肉の脂身の代わりにオリーブオイルなどの不飽和脂肪酸、ナッツ類や大豆類を注文すれば、より少ない量で満腹感を得られ、栄養価も高い。

4 お皿の大きさに注目

 レストランなどでは、お皿は大きめのものを使っていることが多い。お皿が大きいと、つい食べ過ぎてしまいがちになる。いつも家庭で使っているお皿を視覚的に思い出して、頭の中でふだんの食事の量を再現しよう。ふだん食べている量を思い出すことが大切だ。

5 空腹の状態でレストランに行かない

 空腹の状態でレストランに行くと、つい大量に注文しがちになる。外食に行く前に、腹ごなしに野菜スティックや野菜スープを食べて、空腹のままでレストランに行かないようにしよう。なお菓子パンやお菓子は高カロリーなので間食には向かないのでご注意を。

6 肉料理の調理方は「蒸す」「茹でる」を選ぶ

 肉料理を頼むときに、ボリュームを落とさず、カロリーを減らせる便利な調理法が「蒸す」「茹でる」。同じ食材を調理したとき、一般的に、「揚げる」→「焼く」→「煮る」→「蒸す」→「茹でる」の順でカロリーを抑えることができる。カロリーの差となるのは「油」の量。いかに油を足さずにカットしてカロリーを減らすかが重要だ。

7 近くのレストランを利用しない

 自宅やオフィスの近くにあるレストランを利用する場合は、歩いて10~15分くらいの場所にある所を利用すれば、食事の前後に30分のウォーキングを行える。車で行く場合は少し離れた駐車場に停めて、レストランまで歩くようにする。

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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