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2018年02月02日

冬の糖尿病管理 「インスリン」や「血糖自己測定器」の扱いに注意

 インスリンと血糖自己測定器は、どちらも温度に影響される。寒い冬にインスリンを低温度で保管すると、品質に異常があらわれるおそれがある。また、血糖自己測定器は低温の環境下で操作するとエラーが出るおそれがある。
 まだまだ寒さが厳しいので、インスリンの保管と血糖自己測定器の操作には注意が必要だ。
インスリンは低温に弱い 冬場の保管方法
 インスリンは、持ち歩くことを想定して品質の安定がはかられているが、基本的にタンパク質なので熱による変性が起こりやすい。タンパク質は高温でも低温でも変性するので、寒い冬にも注意が必要となる。

 「未使用のインスリンは冷蔵庫で保管してください」と医療スタッフから説明されることが多いので、「寒さに強い」と思いがちだが、未開封のインスリンの保管に保管に適した温度は2〜8℃だ。それより低い温度で保管すると凍結してしまう。

 一度凍らせた製剤は、作用する時間や効果が変わるなど、品質に変化があらわれ、その後で凍解しても品質は元に戻らない。凍らせてしまった製剤は使用しないようにししよう。
未使用のインスリンを車中に置き忘れない
 使用前は2〜8℃に冷やして保管するのが適しているが、医療機関から持ち帰る場合など短時間であれば、特に冷やして持ち帰る必要はない。持ち出す場合は、バックの中に入れ、直射日光を避けよう。特に注意が必要なのは車の中だ。冬は0℃以下になることもあるので置き忘れないようにしよう。
未使用のインスリンを冷蔵庫に保存する場合は、凍らせないように注意
 冬場では家庭用冷蔵庫の中では、冷蔵室の吹き出し口付近の温度が0℃以下になることがある。吹き出し口から冷風が直接当たる場所を避け、ドアポケットなどに置くようにしよう。冷蔵庫の強度設定を強くしすぎないように注意することも必要だ。
開封後のインスリンは室温で保存できる
 開封後(使用中)のインスリンは室温(1〜30℃)で保存できる。逆に冷蔵庫で保管すると、頻回の出し入れによる温度変化により、注入器に結露が生じて故障につながる可能性がある。

 さらに、インスリンを室温で保存する場合、暖房器具の近くなど30℃を超える場所に置かないようにし、窓際などの直射日光があたる場所を避けことが大切だ。また、暖かい室温でも、窓際は低温になることがあるので、窓際には放置するのは避けたい。

 通常は室温で使い切るまで、品質は保たれているが、開封後の製造期間や使用期限は製剤によって異なるので、ラベルや外箱の記載を見て確認しよう。使用可能期間はだいたい4〜8週間だ。
屋外に持ち出す場合は体にふれる場所に
 屋外に持ち出す場合は、体にふれる上着の内ポケットに入れるなどの対応をすると、低温の外気にあたり凍結するおそれがない。また、旅行に持っていく場合は、飛行機の貨物室などは、極端に高温または低温になるおそれがあるので、タオルに包み、バックなどに入れ機内に持ち込もう。
GLP-1受容体作動薬も注意が必要
 GLP-1受容体作動薬も、基本的にタンパク質なので、未使用の場合は凍結を避け、2〜8℃に遮光して保存する必要がある。使用開始後も、室温(1〜30℃)で使用期限内に使用することが重要だ。
血糖自己測定器も気温の影響を受ける
 血糖自己測定器の測定値は、通常の室温であれば正確な値が出るが、室温が低すぎたり高すぎる場合には、温度に影響されてしまうことが分かっている。測定器は湿度の影響も受け、湿度が高過ぎる場合には正確な値が出ない。

 ほとんどの血糖自己測定器には、温度による影響を補正して正確な測定値に近づける「温度補正機能」が備わっているが、多くのは機種は温度が10度以下、もしくは40度以上になると、正しく測定できなくなるので、エラー表示が出る。
血糖自己測定器とセンサーを必要な温度になじませる工夫を
 屋外の寒冷な環境にいると、機種ごとに定められている使用可能な温度におさまっている場合でも、温度変化が測定値に影響する可能性がある。影響を最小限にするために、血糖測定器とセンサーは収納ケースなどに入れて外気にあてないようにするなど、工夫が必要だ。

 また、血糖測定器とセンサーをおよそ温度10〜40℃、湿度20〜80%の環境に20分〜30分以上なじませてから測定することで、正確な測定値を得られるようになる。温度差が大きいほどなじむまでに時間が必要だ。なじんでいない場合、温度補正が正常に行われないため正しい測定結果が得られないので注意が必要となる。

 「インスリン」「GLP-1受容体作動薬」「血糖自己測定器」の種類については、医療スタッフ向けサイト「糖尿病リソースガイド」で詳しく解説している。

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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