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2020年06月24日
第80回米国糖尿病学会(ADA2020)ハイライト 糖尿病の医療は日々進歩している
第80回米国糖尿病学会(ADA2020)が6月12日~16日(火)にWeb開催されました。期間中に発表された研究から、とくに話題になったものを、医療者向けのサイト「糖尿病リソースガイド」でご紹介しています。
デンマークの糖尿病患者さんを対象とした調査で、糖尿病患者さんの多くが心理的ケアを必要としていることが分かりました。「糖尿病が心理的に悪影響を及ぼしている」と感じている患者さんが多く、36%が必要な心理的ケアを受けられていないことが明らかになりました。 とくに女性は心理的ケアを必要としている割合が男性の2倍に上ります。メンタルヘルスの専門家が不足している現状も浮き彫りになりました。 1型糖尿病の発症を抑える免疫抑制薬の開発が進められています。1型糖尿病患者はインスリンを産生する膵臓のβ細胞が免疫細胞に攻撃され破壊されることで発症しますが、この治療薬は、免疫細胞の1つであるT細胞が標的とし、抗体の活性を弱める作用をします。 1型糖尿病を発症するリスクの高い人を対象とした試験で、この薬剤が発症を2年遅らせることが明らかになり、1型糖尿病患者に希望をもたらす結果になりました。米国と欧州で、開発が優先される薬剤に指定されています。 インスリンポンプと持続血糖モニター(CGM)を組合せ高機能化した、次世代インスリン自動注入システムが、より良好な血糖コントロールを実現することが明らかになりました。 14~29歳の1型糖尿病患者さん113人を対象とした試験で、このシステムを利用することで、血糖値が70~180mg/dLに収まった時間は57%から63%に改善し、HbA1cも7.4%に改善しました。血糖コントロールが難しい若年の1型糖尿病患者さんにとって、この次世代システムが有用であることが示されました。 2型糖尿病を発症するリスクの高い人を対象に、生活スタイルの改善、あるいは糖尿病治療薬であるメトホルミンを投与する治療を行うと、2型糖尿病を予防、あるいは発症を遅らせることができることが明らかになりました。 食事や運動などの生活スタイルを改善することで、2型糖尿病の発症リスクは22年間で25%減少し、心臓発作や脳卒中、がんなどのリスクも低下しました。2型糖尿病の予防するためのプログラムも開発され、実際に使われはじめています。 1型糖尿病は、インスリンを産生する膵臓のβ細胞が免疫によって破壊され、インスリンが分泌されなくなることで発症する自己免疫疾患です。1型糖尿病を発症するリスクがある乳幼児を15年間追跡した国際的な研究で、1型糖尿病には遺伝因子と免疫の型によって2つのタイプがあることが明らかになりました。 膵島の自己免疫のある子供の腸内細菌叢に変化があり、プロバイオティクスを使用することで発症リスクを低下できる可能性が示されました。1型糖尿病の発症に関わる環境因子を明らかにし、予防のための治療法を開発する研究が進められています。 糖尿病リソースガイド
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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