糖尿病 男の悩み ―糖尿病と性機能低下―

2006年04月01日

1. 男の人生の活力と性

G. 糖尿病と性機能

a. 糖尿病男性に最も多い合併症とは何?

 さて、かなり詳しくいかに生き物・人間として、性を考えるべきかを議論してきましたが、ここまでの説明で、ご理解いただいた新しい21世紀らしい性への理解を、読者の方々の考えの基礎に正しく取り入れていただいたうえで、本題の糖尿病における性機能障害問題についていろいろな立場から考えていきたいと思います。

 最近若年者に糖尿病罹患例が比較的多くなりつつありますが、若くなればなるほど、男性にとって性機能障害は重大問題となるはずです。そしてやはり早朝勃起消失が早くから発現してくる点が臨床上の大きな問題となると言えましょう。

 中高年男性では、前述したように加齢に加えて、ストレスが、その男性性機能を抑え込んでしまっていると述べましたが、 糖尿病に罹患すると、糖尿病の合併症としての神経血管障害によ、その性機能の低下をさらに顕著に促進され、また増強されているのです。その性機能の低下はかなり高頻度にはっきりと糖尿病症例に見られております。(図25 〜 27)

図25

図26

図27

 ところがなぜか、今までのわが国の糖尿病治療学の現場では、その性機能低下問題は医師側からまた患者さん側からさえもほとんど無視されておりました。

 最近の世界的な調査で、日本が世界で一番、医師も患者の“性問題を取り上げたがらない”ということが明らかになっておりますが、そのような社会的な背景のため、糖尿病での性機能低下現象がほとんど公式には無視されているのでしょうか?

 しかし21世紀医学の中で、QOL問題が重視され始めており、中高年男性のQOLの重要問題として、性問題は、いまや医師側のみでなく、患者さん側からも次第に注目されるようになってきております。

b. 糖尿病男性の再活性化のために

 糖尿病症例が甚しく増加しつつありますが、その疾患管理医療がかなり行き届くようになってきている現状で、かなりの方は全身的な体調は大変元気にはなってきております。しかし、男性機能に関してはっきり低下している方々が少なくありません。そのため今や、医学的に、特に男性学的視点から、性機能低下現象に対してのより積極的な治療学的対応が望まれるようになってきております。

 ことに私どものメンズヘルス医学の立場、“Re-vitalization of man”や“男性活性医学”を、生涯の医学研究の課題にして過ごしてきている立場からすると、多くの糖尿病を罹患されている方々が重要な男性機能低下問題を抱えているはずなのに、医学会はもとより社会的にも放置されているのが、残念でなりません。

 そこで今回の“糖尿病と性機能”というこのホーム・ページを開き、隠れた性機能低下をもつ男性糖尿病の方々に、糖尿病における性機能低下の具体的なデータを解説しながら、男性の日常生活上の基本的な活性化につながる性機能問題の重要性を語り合い、治療の道を開くお手伝いができればと心から願っております。男性の性機能維持の意義については、日常臨床経験上、強く感じているところなのです。

 このインターネット・ホームページ・シリーズの中で、もう少し男性の性の重要性・意義ご理解戴けるように、逐次解説していきたいと計画しております。一年間、このホームページシリーズに、お付き合いいただければ幸甚です。

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