糖尿病 男の悩み ―糖尿病と性機能低下―

2006年11月01日

2. “ED”という言葉について考える

その6

 もう一つ、現在のEDという一般的な問題提起は、現在の医学的定義では、性交渉をももたなければ、ED(勃起障害)問題にはならないことになるわけです。しかし、男性の性を論ずる場合、それだけの問題ではないことはホームページ“男の悩み”で縷々述べているところです。

 ことに糖尿病の合併症として、“男の性”を考える場合、現在の生活と性交渉とは関係ないから、自分としては問題ではないと考えている方も少なくないと言えます。しかしそれは“男の心理的活力”という立場からの問題を無視した視点と言ってよく、また今までの医学的視点に立った古い男性医学からの20世紀的見解でもあるのです。新しい21世紀における糖尿病治療学としては、いまや再考すべきでところであると強調しておきたいと思います。

 男の夜間睡眠時勃起現象、その最後の勃起である“朝立ち”“早朝勃起”が、男の心理的活力とどう関係するのか、もう少し詳しく説明しておきましょう。

 男が“男の生き物としての自信”をもつことが、“男 人間”としての自信そのものであると言っても過言ではありません。男でなく、女でなくても人間として自信が生まれるという反論も出るかもしれませんが、この男・女の性が厳然として存在する生き物 人間にとって、口で言ったり意識していなくても、男・女の性意識が生活上、生の基本的な認識・自尊心の根底にあると、臨床上常に感じております。

 心理的な検査でも、のように“勃起能と男性性度”とに、かなりはっきりした相関性があることが認められております。自分も“男 生き物として元気なのだ”という自信が、心の根底で、男の人々の日常生活の中で、極めて意義あることがわかります。特別の方々を除いて、一般の男性では、いわゆる“悟りを開く”ということでは、社会活動力・意欲を支えられないのではないでしょうか。

 性交渉ができるできないという問題以前の生理現象である、男の性の基本としての夜間睡眠時勃起・早朝勃起をもう一度考え直してみていただきたいと思います。そして、その中に“男の性”を、自らの男としての自覚・自信・活力を再確認してほしいものです。

 もう一度最後に改めて、EDでなく、男の性機能低下という広い立場から自らの性の問題点を考え、男性の糖尿病の方々が男の心理的・生理的な活力の源である“男の性”を、広い男 人間として、全般的な立場から見、検討するために、このホームページでご一緒に考えていきたいと願っております。

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