開催報告

第5回 若い糖尿病患者さんとのグループミーティングのまとめ

  東京女子医大糖尿病センター 小林浩子

 第5回目グループミーティングは患者さん17名と医療関係者10名が集まり開催されました。患者さんの半分が初参加で、自分の気持ちを話して整理してみるよい機会になったようです。
 糖尿病の子どもをもつ親御さんの話しになりました。自分が片足をなくしても、子どもの糖尿病を治してあげたいという親の真摯な気持ち。食事とインスリンを準備しても子どもが食べるかどうかわからない、低血糖になってしまうのではないかという戸惑い、子どもの将来への不安。たとえこれらの悩みを人と分かち合ったり共感することができたとしても消えることはありません。  小さい時に糖尿病を発症し、成人して元気に生活している患者さんの体験や患者さんの存在そのものが、ご両親の不安な気持ちに何よりも前向きのエネルギーを与えることができるものではないかと思ったりします。
 低血糖や高血糖になることを心配して、親が子どもの身体ばかり監視していると、子どもの心が病気になってしまいます。「おうちの中におまわりさんはいてほしくない」というのが子どもの気持ちのようです。子育てはとても大変なことで、その上に血糖値を管理するのはさらに大変なことです。しかし、その中で家族がお互いを思いやり愛することが何よりも大切なことだと改めて考えさせられました。
 また、自分の糖尿病をどのように周囲に伝えるかも話題になりました。どんなタイミングで何を説明するかは皆さんさまざまでした。「誰が何を好きだって言ったか、その後ずっと1年も覚えている人、いるかなあ?」「人ってそんなにある特定の人のことばかり見ているわけではない。」チャプレン先生の言葉です。
 糖尿病のことだけが言えないのか、その他の心の傷については、人に話すことができるのか、どうなのでしょう。誰でも自分の中だけにしまっておきたい、人に話したくない弱みや哀しみがあるのではないでしょうか。
 患者さん同士の小ミーティングでは、ひとことで低血糖といってもいろいろな症状や体験があることなどが話し合われたようです。平行して行われた医療関係者の話し合いでは診察室や病棟では語られない患者さんの思いがいろいろあることに気がつき、自らを語らない患者さんにも、機会があれば声をかけてみようという感想が語られました。

 最後に。血糖値をコントロールするのは目的を達成するための手段で、それが目的になったら心が病気になります。心と身体はバラバラではなくひとつです。

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