開催報告

第16回 若い糖尿病患者さんとのグループミーティングのまとめ

東京女子医科大学糖尿病センター 小林浩子

参加者が同じ目線で話し合う
 第16回目のグループミーティング(2012年9月16日(日))は患者さん23名、ご家族2名、医師5名(うちファシリテーター4名)、看護師10名、栄養士2名が集いました。いつもと同様に患者さんの年齢や1型糖尿病を発病した年齢、発病してからの年数も様々な方が一同に集いました。総勢42名もの参加で、各々の顔が見えるように机を丸く並べると、本当に大きな一つの円ができました。
 1型糖尿病の患者会は数多くありますが、医療スタッフと同じ目線でリラックスして語り合える場はこの“若い糖尿病患者さんとのグループミーティング”くらいかもしれない、と患者さんからの声があり、このミーティングも皆様に段々と認知していただけるようになったと、1スタッフとして嬉しく思いました。

医療者はとかく医学的対応に追われがち
 はじめにチャプレンより、とある病院の病棟を定期的に訪問しているが、医療スタッフ間での話し合いは“医学”中心になりがちで、そこに人間としての患者さんの生き方が全くでてこないことに苛立ちを感じるということを述べられました。
 これは私自身も感じることですが、病棟などでは特に患者さんの病状をよくするために点滴や薬をどうするかという医学的な治療を考えることや、いびきが大きい患者さんの病室をどこにするかなどという実際的な問題で手一杯になります。
 なかなかその患者さんが退院してからの生活や生き方にまで目を向けられません。

日々の生活で生じる問題、疑問
 しかしながら、このミーティングで患者さんが話されるのは、やはり日々の生活についてです。患者が知りたいのは入院中の血糖管理ではなく、不規則な日常生活で如何に血糖コントロールを保つかという点です、との指摘がありました。

  • 規則的な生活が送れる仕事に転職するべきどうだろうか?

  • 低血糖の時に足が動かなくなった、突然不安になりイライラすることがある、他のみんなにも同じようなことはあるのか?

  • 初めてインスリンポンプが故障して戸惑った。

  • インスリンをうちはじめ体重が増えるので夜マラソンをしている。

  • 以前好きだったカルピスソーダを糖尿病と診断されてからは飲まなくなった。

など、このように毎日の生活の中での些細な出来事や不安に対して、医療スタッフはどこまで対処できるのか、またするべきなのでしょうか?

患者さんが病院にきて、本当に知りたい問いを医療スタッフに気軽に聴くことができるような人間関係と環境はどうように築かれるのでしょうか?

チャプレンのことば
 最後に“病気であること、1型糖尿病であることは、その人の人生の中で失ったものがあるということです。社会や医療スタッフはその失ったものでクヨクヨせずに、はやく糖尿病のある人生に順応して・・・回復して・・・と励ますことに重点をおきがちです。しかし、失ったものを悲しむのは、いままで肯定的な人生を生きてきた証拠です。喪失したものを悲しむ心を素直に受け容れることもとても大切です。”というチャプレンのことばが印象に残りました。

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