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SGLT2阻害薬の使用でフルニエ壊疽リスク、米FDA調査
2019年05月
 SGLT2阻害薬という新しいクラスの経口糖尿病治療薬を服用している患者では、依然として重篤な性器感染症の懸念があることが、米食品医薬品局(FDA)の調査で明らかになった。同薬を服用中に生殖器の痛みや発赤などの症状が見られたら、まれではあるが壊死性筋膜炎(「フルニエ壊疽」とも呼ばれる)の可能性があるため、早急に医師の診察を受ける必要があるという。研究の詳細は「Annals of Internal Medicine」5月7日オンライン版に発表された。

 フルニエ壊疽は、生殖器や会陰部、肛門周囲に生じる進行性の壊死性筋膜炎であり、いったん発症すると炎症が急速に広がって組織が壊死する。FDA医薬品評価研究センターのSusan Bersoff-Matcha氏らが、FDAの有害事象報告システムや症例報告のデータを分析したところ、2013年3月から2019年1月の間に、SGLT2阻害薬を処方された患者から55例のフルニエ壊疽の発症例が特定された。

 これらの患者の年齢は33?87歳(平均年齢56歳)で、39例は男性だった。41例は米国内の発症例であった。また、症例は全て入院を要する重症例で、一部には複数回の外科手術が行われた。このうち3例が死亡。55例のうち31例は他の糖尿病治療薬を併用していた。

 一方、その他の糖尿病治療薬を処方された患者では、1984年から2019年の間に確認されたフルニエ壊疽の発症は19症例にとどまっていた。これらの患者の年齢は42?79歳で、12例が男性、2例が死亡した。

 SGLT2阻害薬は2013年にFDAに初めて承認されて以降、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジンなどが登場し、使用が広がっている。2017年には、米国でSGLT2阻害薬を処方された患者数は170万人に上ると推定されており、Bersoff-Matcha氏は「フルニエ壊疽の発症リスクは極めて低い」と強調している。

 なお、フルニエ壊疽に対しては、広域スペクトラムの抗菌薬投与と外科的な壊死組織の切除が主な治療法となる。また、SGLT2阻害薬は血液中の余分な糖を尿中に排出させることで血糖値を下げるように働くほか、2型糖尿病患者の心疾患や脳卒中リスクを低減する可能性が示されている。一方、副作用としては尿路感染症や性器感染症のほか、腎障害の可能性が示されている。

 今回の研究には関与していない米モンテフィオーレ医療センター臨床糖尿病センター長を務めるJoel Zonszein氏は「今回の研究はよくデザインされたものだが、SGLT2阻害薬の使用とフルニエ壊疽の因果関係を証明するものではない」と指摘。その上で、「糖尿病患者では陰部や直腸部の感染症はよくみられるが、フルニエ壊疽とは限らない。フルニエ壊疽は非常に侵襲性が高いが、極めてまれな疾患だ」と述べている。

 また、フルニエ壊疽を発症した原因が処方薬にあるのかどうかは明らかになっていない。SGLT2阻害薬については、何万例もの患者を対象とした多くの臨床試験が行われているが、フルニエ壊疽の発症例は報告されていないという。Zonszein氏によれば、糖尿病患者にとっては血糖コントロール不良により合併症リスクが上昇するほうが危険であり、「これらの糖尿病治療薬のベネフィットはリスクを上回る」と同氏は強調している。

 なお、SGLT2阻害薬の添付文書は、2018年8月にFDAの指示によりフルニエ壊疽リスクを踏まえた内容に改定されている。

[2019年5月6日/HealthDay News]

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