HealthDay News

2022年01月18日

COVID-19重症化リスクが高い子供の特徴

 基礎疾患のある成人は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患時の重症化リスクが高いことは、パンデミック初期から明らかになっている。それと同じことが子供にも当てはまることを示唆するデータが、10ヵ国で行われた国際共同研究(PERN-COVID-19)の結果として報告された。米ルリー小児病院のTodd Florin氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に1月11日掲載された。

 PERN-COVID-19は、2020年3月~2021年6月に重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の検査を受けた18歳未満の未成年が登録されている前向きコホート研究で、米国、カナダ、イタリア、スペイン、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポールなどの10ヵ国、41施設が参加して行われた。

 解析対象は、救急部門(ED)を受診しPCR検査でSARS-CoV-2陽性と判定された患児3,221人。その年齢中央値は3歳(四分位範囲3~10)で、男児が52.6%であり、自己申告による何らかの基礎疾患を有する患者が15.0%を占めていた。

 このうち735人(22.8%)が受診後14日以内に入院し、107人(3.3%)が重篤な転帰(急性呼吸窮迫症候群、敗血症、心血管イベント、心不全、陽圧換気や体外式膜型人工心肺・腎代替療法を要する状態など、および死亡)に至り、うち4人が死亡した。一方、ED受診時に入院を要さないと判断された患者2,510人のうち、後に入院を要したのは50人(2.0%)で、12人(0.5%)が重篤な転帰に至っていた。

 重篤な転帰に関連するリスク因子として、以下に示すように、年齢や基礎疾患の存在などが浮かび上がった。まず、年齢に関しては、1歳未満の患児を基準として、5~10歳未満では調整オッズ比(aOR)1.60(95%信頼区間1.09~2.34)、10〜18歳未満はaOR2.39(同1.38~4.14)だった。次に、基礎疾患に関しては、糖尿病や心疾患、消化器疾患など、何らかの基礎疾患がある場合はaOR2.34(同1.59~3.44)だった。

 ただし、小児期に多い疾患である喘息に関してはaOR0.60(同0.31~1.15)であり、重篤な転帰と有意な関連がなかった。この点についてFlorin氏は、「われわれにとって驚くべき結果だった」と語っている。同氏によると、過去の複数の研究から、喘息はCOVID-19重症化のリスク因子である可能性が示唆されているという。一方、米国オハイオ州の小児病院に勤務する呼吸器専門医のBenjamin Kopp氏は、「この研究では喘息の重症度が評価されていない」と指摘し、喘息の管理状態によってCOVID-19重症化リスクに差が生じる可能性を指摘している。

 本研究は、オミクロン株の感染が拡大する前に実施された。子供は成人に比べてCOVID-19が重症化するリスクは低いが、オミクロン株の感染拡大後は、感染する患児の数が急増しているため、入院を要する子供も急激に増えている。その多くは、まだワクチン接種の対象となっていない5歳未満の子供で占められている。

 Kopp氏によると、「オミクロン株はデルタ株に比較し重症化しにくい可能性がある。しかし、重症化リスク因子そのものは、以前から変わっていないのではないか」とのことだ。同氏はまた、「ワクチン対象年齢の子供には、重症化リスク因子を持っているか否かにかかわらず、接種を強く勧めたい。COVID-19に罹患した場合には、ワクチンを接種済であることが、重症化リスクの違いとなって現れる」と、子供へのワクチン接種の重要性を強調している。

 なお、米疾病対策センター(CDC)のデータによると、米国では1月12日時点で、12~17歳の54%がワクチン接種を完了している。一方、5~11歳のワクチン接種完了者は、まだ18%に過ぎないという。

[American Heart Association News 2022年1月18日]

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Photo Credit: Adobe Stock
[ Terahata ]

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