いま、1型糖尿病は/内潟 安子 先生
2026年09月18日
毎日、ちょっとゆううつ・・・「つながるT1Dファミリー交流会」の紹介
今年の夏は7月中旬から各地で40度を超えるとんでもない暑さに見舞われ、まさしく「酷暑」でしたね。8月に入り、暑さに慣れたかなと思ったら、次々と来る台風と大雨、9月に入っても線状降水帯が発生して大雨の日々が続き、日本中でたいへんな被害が出ました。
その中で今年の夏も全国48か所の「ダイアベティス・キッズキャンプ」が開催する予定でしたが、皆さんのところのキャンプは、無事開催できましたでしょうか。
昨年のキャンプで知り合ったお友達や毎年会えるお兄さんやお姉さんに会えて「楽しかった!」と感じたキャンパーも多かったのではと思っています。
楽しかった思い出に浸っていたら宿題やらなんやらで、夏休みがあっという間に終わってしまいましたね。
休みの後の始まりはいつも少しゆううつ
9月になって学校がまた始まりました。夏休み中は起床時間や就寝時間がゆるくなり、食事時間も毎日変化してしまって...。でも、低血糖になっても学校がない分、いつでも食べられるという自由がありました。
「明日から学校か」と思うと、そのたびに少しゆううつになってしまいます。「学校で低血糖にならないように気をつけなくっちゃ」とか、授業中や体育の時間、走り回る休み時間のインスリンポンプやインスリン注射のことが頭をよぎります。
実は、高校生、大学生、社会人になっても、週のはじまり月曜日が来ると、ちょっとゆううつになりやすいのですね。月曜日は「ブルーマンデー」とも呼ばれています。
お父さんやお母さんも、楽しい家族旅行が終わって「明日からまた会社へ出勤だ」という日が来ると、ちょっと気分がブルーになってしまう経験をお持ちなのではないでしょうか。
楽しかった時間やゆったりした時間が過ぎた後、元の生活に戻るときは、誰しもゆううつでちょっとうっとうしい気持ちになりやすいのですね。
さあ、登校日だ!月曜日だ!仕事再開の日だ!
そんな気分の中、目覚めた登校日の朝。起床した後もトイレに行った後もぐずぐずとしていて、お母さんに叱られながら、学校や会社に行く準備をすることになります。
でも、学校に向かって歩いていくと、うっとうしい気分からだんだん気持ちが乗ってくるという経験をしたことがありませんか。途中でお友達に会って合流したりすると、もっと気分が乗ってきますね。
駅に向かってゆううつな気分で歩いている社会人のお父さんやお母さんも、だんだん駅へ向かう人の波の中に吸い込まれていくと、いつものスピードで歩くようになり、「よし!」という気持ちになって満員電車に乗り込んでいくのです。
実は、「いやいやの気持ち」でもいつものルーチン(日課)である「歩くこと」を続けていると、ゆううつな気持ちが和らいでいきます。「いつものように歩く」などのルーチン行動というのはすごい力を持っているのですね。スポーツでも、いつもの準備運動をしていると気分が乗ってくるのを経験された皆さんもおられるでしょう。
毎日やっていること
皆さんも、お父さんやお母さんも、誰しもなにかしら毎日ルーチンの流れをこなしています。
毎朝、歯をみがく、髪の毛を整える、学校の教科書をそろえる、忘れ物がないか確認する―これらはすべてルーチンですね。犬の散歩を終えてから学校に行くという皆さんもおられるでしょう。学校まで歩くこと、インスリン注射や血糖測定をすること、これらもまさしくルーチンですね。
インスリン注射や血糖測定も、はじめのうちは「面倒だな」「ゆううつだな」と感じることがあるかもしれません。でも、毎日くり返すうちに、歯みがきと同じように自然と体が動くようになり、気がつけばいつもの生活の一部になっていきます。ゆううつな朝も、いつものルーチンをひとつずつこなしていくうちに、「よし!」と前を向けるようになるものです。
とはいえ、1型糖尿病を発症してまだ間もないお子さんやご家族にとっては、インスリン治療がルーチンになるまで、不安やとまどいの多い日々が続くことと思います。そんなときは、同じ経験をしてきた仲間とおしゃべりをしてみるのも、気持ちを軽くするひとつの方法です。
【お知らせ】つながるT1Dファミリー交流会
本年11月22日(日)に東京都港区で開催されるJADEC(日本糖尿病協会)第1回「つながるT1Dファミリー交流会」の準備が進んでいます。発症しておおむね3年未満の1型糖尿病のお子さんと保護者の皆さんを対象とした会です。同じ1型糖尿病を持ったお兄さん、お姉さん、医療者と一緒に、糖尿病のこと、毎日のインスリン治療のこと、お食事のこと、保育園や幼稚園、学校のことなど、日頃思っていることをおしゃべりしてみませんか。
JADECのウェブサイトで8月から参加申し込みを受け付けていますが、締め切りはもう間近で9月30日(木)です。
今年は残念ながら参加できないという皆さん、来年も開催予定です。来年の第2回を楽しみに待っていてくださいね。
JADEC(公益社団法人日本糖尿病協会) 第1回「つながるT1Dファミリー交流会」
プロフィール
内潟 安子
YASUKO UCHIGATA
1977年金沢大学医学部卒業
金沢大学医学部大学院卒業
富山医科薬科大学医学部 第1生化学に国内留学
米国国立衛生研究所(NIDR)に海外留学
東京女子医科大学 内科学第三講座主任教授 糖尿病センター長、
東京女子医科大学東医療センター 病院長、
東京女子医科大学附属足立医療センター 病院長を歴任
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