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2021年10月06日
糖尿病は「治る病気」? 体重コントロールで2型糖尿病を寛解 治ったのと同じ状態に
- キーワード
- 糖尿病と肥満 糖尿病の検査(HbA1c 他) 食事療法
英国糖尿病学会(Diabetes UK)などが支援して実施されている「ReTUNE研究」で、肥満のある2型糖尿病患者が体重コントロールに成功すると、糖尿病が寛解するケースがあることが示されている。
このほどその初期調査で、体格指数(BMI)が27未満の2型糖尿病患者でも、体重コントロールは有望であることが明らかになった。肥満や過体重の人は体重を減らして、健康的な体重を維持することで、糖尿病が治ったのと同じ状態を維持できるという。
「糖尿病にかかると一生治らない」は本当?
2型糖尿病の「寛解(remission)」とは、糖尿病が治ったのと同じ状態を維持すること。これまで「糖尿病を発症すると、一生付き合わなければならない」と言われていたが、糖尿病の早期診断や治療の進歩により、患者によっては2型糖尿病の寛解は可能だと考えられるようになってきた。
英国糖尿病学会(Diabetes UK)などが支援して実施されている「ReTUNE研究」で、肥満のある2型糖尿病患者が体重コントロールに成功すると、糖尿病が寛解するケースがあることが示されている。
ReTUNE研究は、肥満や過体重のある2型糖尿病患者に、「糖尿病は治せる病気」として希望をもたらしてきた。
ニューカッスル大学のロイ テイラー教授はこのほど、欧州糖尿病学会(EASD)年次学術会議で、ReTUNE研究の初期の発見について発表した。
そこでは、高度な肥満のある人だけでなく、体格指数(BMI)が27未満の軽度の肥満の人でも、体重コントロールは効果的であることが示された。
肥満の多い欧米では、健康的な体重を維持できている2型糖尿病患者は、約10%しかいないという。それほどの肥満ではないという人でも、内臓や肝臓、膵臓などに脂肪がたまると、糖尿病のリスクは上昇する。
3分の2が糖尿病の「寛解」に成功
研究では、肥満や過体重の患者を対象に、医療チームの指導のもと、食事のエネルギー摂取量や炭水化物などの栄養バランスを適正にコントロールし、体重の10~15%を減らすことを目標に、最大2週間の減量プログラムに取り組んでもらった。
その結果、参加者の平均BMIは25未満に減少し、肝臓や膵臓にたまっていた脂肪も減少した。その結果、患者の約3分の2が、糖尿病の「寛解」に成功した。
ReTUNE研究では現在、食事療法による体重減少が糖尿病の寛解に役立つかが調査されている。最終結果は来年に発表される予定だ。
「今回の発表は予備的な研究の結果ですが、体重を減らし、健康的な体重を維持することは、2型糖尿病の人々に利益をもたらす可能性があることが示されました。患者さんによっては、糖尿病を寛解できる可能性もあります」と、テイラー教授は述べている。
「ReTUNE研究により、内臓・肝臓・膵臓などにたまった不健康な脂肪が2型糖尿病にどのように影響するかについての理解が深まります。研究成果は、2型糖尿病患者さんに対するサービスとサポートの開発に役立つと期待されます。研究が成功したときには、英国のNHS(国民保健サービス)と協力して、2型糖尿病患者さん向けの新たな治療プログラムを開発することが考えられます」と、英国糖尿病学会のルーシー チェンバース氏は述べている。
なお、減量による体重コントロールを希望する人は、まずかかりつけの医師や糖尿病治療チームに相談することを勧めている。
2型糖尿病の「寛解」の条件は?
- 薬物療法を行っていない状態で3ヵ月間以上、HbA1c6.5%未満が持続している。
- 血糖コントロール状態を知るうえで、1~2ヵ月の血糖値平均を示すHbA1cの信頼性が不十分と判断されるケースでは、連続血糖測定(CGM)の結果から計算する。空腹時血糖値が126mg/dL未満、またはHbA1c6.5%未満を代替基準とする。
- 寛解に至ったあとで、その状態が維持されているかを確かめるため、年に1度以上は検査を受ける必要がある。網膜症、腎症、神経障害、心血管疾患などの糖尿病の合併症について、継続的に検査する必要がある。
Retuneing Type 2 Diabetes Remission(英国糖尿病学会)
Consensus Report: Definition and Interpretation of Remission in Type 2 Diabetes(Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism 2021年8月30日)
Consensus Report: Definition and Interpretation of Remission in Type 2 Diabetes(米国糖尿病学会 2021年8月)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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