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2006年07月15日

糖尿病対策の食事 脂肪少なめで食物繊維は多く

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 脂肪が少なめで食物繊維は多めの食事を続けた人は、体重が増えず、2型糖尿病の発症も少ないという研究結果が米国で発表された。

 2型糖尿病の発症を予防するために、食事で食物繊維を十分にとり、炭水化物や脂肪をとりすぎないようにすることがよいと言われているが、そうした食事が本当に発症抑制につながるかを科学的に調べた研究は少ない。
 そこで米国で、糖尿病と診断されないが血糖値が高めでリスクの高い状態である耐糖能異常(IGT)のある人を対象とした糖尿病予防の介入試験「Finnish Diabetes Prevention Study」で栄養素の摂取と糖尿病発症との関連などを調べて研究が行われ、結果が発表された。

 研究では、主要栄養素とエネルギーの摂取が、体重や腹囲径(ウエストサイズ)の変化、糖尿病の発症率と関連しているかが調べられた。耐糖能障害のある肥満の中年男性 172人、女性 350人を、従来の治療を受ける群と集中的な食事療法と運動療法を受ける群に無作為に割り付け、登録時と年1回の検査で、3日間の食事記録による食事摂取の評価と、75gOGTT(経口ブドウ糖負荷試験)を複数回行った。研究では追跡データが得られた500例のみを対象とした。

 性別、治療の有無、体重変化、身体活動度、登録時のOGTT2時間後血糖値、栄養素の摂取などの影響を取り除いて分析したところ、「低脂肪+高繊維摂」の食事をとっている人で体重の減少が高く、2型糖尿病の発症リスクは低いことが示された。

  • 体重の減少は「低脂肪+高繊維」摂取群(3年後に3.1kg減少)で、「高脂肪+低繊維」摂取群(同0.7kg減少)より高かった。
  • 平均4.1年間の追跡期間中の糖尿病の発症リスク(ハザード比)は、食物繊維摂取が0.38、脂肪摂取が2.14、飽和脂肪摂取が1.73で、食物繊維を摂取した人で最も少なかった。
  • 発症リスクを「低脂肪+高繊維摂」群と比較すると、「低脂肪+低繊維」摂取群、「高脂肪+高繊維摂取」群、「高脂肪+低繊維摂取」のは、それぞれ1.98、2.68、1.89だった。
Diabetologia. 2006; 49: 912-20(英文・要約)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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