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2006年11月07日

生活習慣病の健診対象者 2008年度は5,600万人に

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 2008年度からスタートする新しい健診の対象者数を5,618万人に倍増―厚生労働省が、生活習慣病対策の一環として行う健診の対象者数の推計を公表した。

 現在の一般的な健診の年間受診者数は、40歳から74歳の保険加入者で約2,800万人。厚労省は、新しい健診制度が発足する2008年度の健診受信者数を、現在のほぼ2倍に当る5,618万人と推定している。
保険者別の健診受診者数
2008年度の40歳から74歳の加入者を対象とした推計
 被保険者数被扶養者数合計
政府管掌健康保険1,046万人414万人1,461万人
健康保険組合加入者688万人355万人1,043万人
国民健康保険2,571万人(家族も含む)2,571万人
厚生労働省資料

 生活習慣病の健診が、2008年度から保健指導とともに健保組合や市町村など公的医療保険の運営者(保険者)に義務付けられることが、先の医療制度改革で決まった。特に生活習慣病の発症リスクの高い中高年が重点的な対象となる。

 糖尿病などの生活習慣病は、発症を防ぐための一次予防、発症したときに早期治療を行い病気の進行をくい止めるための二次予防が重要と考えられている。そのため、健診結果に基づいて生活習慣病の予備群や有病者を把握し、検診後の保健指導を徹底して行う仕組み作りが、医療制度改革の柱となる

 検査で治療が必要と判定された人に医療機関での受診を勧めるほか、食生活や運動などの生活習慣の改善についての情報を提供し、生活習慣の改善を促すことが求められている。

 受診率が低い場合は、健保組合や市町村などに対するペナルティーの導入も検討されている。実際に健診を受け入れる医療機関などの確保や、保健指導に当たる保健師ら指導員の不足、健診の費用分担が複雑になるなど、問題点も懸念されている。

 そのため、健診や保健指導を保険会社などの民間企業が、アウトソーシングとして健診事業を請け負うことも予想される。

標準的な質問票(案)
下の質問で「はい」が多かったり、生活習慣の改善が必要とされると、保健指導が行われる。
 質問項目回答分野
1-3以下の薬で治療を行っているか 服薬歴
1a. 血圧を下げる薬(1)はい (2)いいえ服薬歴
2b. インスリン注射又は血糖を下げる薬(1)はい (2)いいえ服薬歴
3c. コレステロールを下げる薬(1)はい (2)いいえ服薬歴
4医師から、脳卒中(脳出血、脳梗塞等)にかかっているといわれたり、治療を受けたことがありますか。(1)はい (2)いいえ既往歴
5医師から、心臓病(狭心症、心筋梗塞等)にかかっているといわれたり、治療を受けたことがありますか。(1)はい (2)いいえ既往歴
6医師から、慢性の腎不全にかかっているといわれたり、治療(人工透析)を受けたことがありますか。(1)はい (2)いいえ既往歴
7現在、たばこを習慣的に吸っている。(※「現在、習慣的に喫煙している者」とは、「合計100本以上、又は6ヶ月以上吸っている者」であり、最近1ヶ月間も吸っている者)(1)はい (2)いいえ喫煙
820歳の時の体重から10kg以上増加している。(1)はい (2)いいえ体重
91回30分以上の軽く汗をかく運動を週2日以上、1年以上実施。(1)はい (2)いいえ運動
10日常生活において歩行又は同等の身体活動を1日1時間以上実施。(1)はい (2)いいえ運動
11同世代の同性と比較して歩く速度が速い。(1)はい (2)いいえ運動
12この1年間で体重の増減が±3?s以上あった。(1)はい (2)いいえ体重
13早食い・ドカ食い・ながら食いが多い。(1)はい (2)いいえ栄養
14就寝前の2時間以内に夕食を取ることが週に3回以上ある。(1)はい (2)いいえ栄養
15夜食や間食が多い。(1)はい (2)いいえ栄養
16朝食を抜くことが多い。(1)はい (2)いいえ栄養
17ほぼ毎日アルコール飲料を飲む。(1)はい (2)いいえ栄養
18睡眠で休養が得られている。(1)はい (2)いいえ休養
厚生労働省資料
●詳しくは厚生労働省のサイトへ
 第2回保険者による健診・保健指導の円滑な実施方策に関する検討会

関連情報
糖尿病からみた医療制度改革 (1) 生活習慣病予防に重点
糖尿病からみた医療制度改革 (2) 都道府県の重い役割

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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