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2008年04月23日

慢性腎臓病(CKD)対策 厚労省検討会が初の報告書

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糖尿病合併症
 厚生労働省の「腎疾患対策検討会」(座長:菱田明・浜松医大教授)は先月、国の「慢性腎臓病(CKD)」対策についての報告書をまとめた。関連する医学会や自治体に近く送付し検討を重ね、来年度以降の施策に反映させる。

 慢性腎臓病(CKD)は、慢性的に腎臓の機能低下が長期にわたり進行している状態をさす。透析患者の予備群となるだけでなく、心筋梗塞や脳卒中などの危険因子でもある。日本での患者数は600万人、有病率は成人の6%と推計され、新たな‘国民病’として注目されつつある。

糖尿病と腎臓病
 わが国の透析患者数は2006年末に26万を超えた。2004年度の国民医療費では、透析医療に1.3兆円が費やされている。透析導入が増えた最大の原因は糖尿病性腎症がますます増加しているから。
 糖尿病の治療法は年々進歩しており、血糖コントロールや適切な治療を行えば、腎症の進行を抑えられるようになってきた。そのために病気がどの程度進んでいるのを、尿検査や血清クレアチニン検査などで定期的に調べていく必要がある。
 糖尿病性腎症の予防と治療について、下記ページで詳しく解説している。
糖尿病セミナー-糖尿病による腎臓の病気
 CKD発症の危険因子となるのは、加齢、CKDの家族歴、脂質異常、高血圧、糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームなど。悪化すると人工透析導入が必要となるが、報告書では生活習慣の改善と適切な治療を行えば発症や進行を抑えることができると指摘している。

 慢性腎臓病の最大の原疾患となる糖尿病性腎症については、血糖コントロールを良好に行うことで、予防や進行を遅らせることが可能になる。高血圧も大きな要因となるが、同じく適切にコントロールすることで改善できる。

早期発見し治療、重症化を予防
 CKDは病状が進行するまでほとんど自覚症状がないので、健康診断などを受けていない人では発見が遅れることも多い。そうした場合、気が付かないまま腎臓機能が低下し、ある日突然、透析療法が必要と宣告される危険性がある。そのため定期的な検査は欠かせない

 報告書では、CKDの早期発見し、治療、重症化予防するために、地域でかかりつけ医と専門医が連携して診断、治療を継続するシステムを構築することを推奨した。

 日本腎臓学会が策定した「CKD診療ガイド」を医療関係者に普及させるとともに、同学会が作成を進めている「CKDガイドライン(仮称)」をかかりつけ医を中心に広く普及させることや、健康診査や人間ドックで活用できるCKD判定基準、受診勧奨の基準などの必要性が指摘された。保健師、看護師、管理栄養士を中心とした保健指導のスキルを高める施策づくりも必要だ。

 メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)がCKD発症要因のひとつであることから、メタボ改善とCKD予防の両方の保健指導を併せて実施することも望まれている

第2回腎疾患対策検討会(厚生労働省)
今後の腎疾患対策のあり方について(案)(腎疾患対策検討会作業班報告書)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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