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2024年04月01日

糖尿病の人にはストレス対処法が必要 「マインドフルネス」がストレスや燃え尽き症候群から守る

 ストレスに対処するうえで鍵となるのは、効果的な対策を講じて、行動に移せるようになることだと、新たな研究で示された。

 「ストレスの効果的な対処法を学ぶことは重要です。ストレスの多くは私たちがコントロールできる範囲内にありますが、そのことは見落とされがちです」と、研究者は述べている。

 「マインドフルネス」を導入すると、職場の従業員のストレスや不安、過剰な負荷を軽減できることも示された。とくにデジタル化が進んだ職場で、マインドフルネスは効果的だしている。

糖尿病の人はストレスを感じやすい

 英国糖尿病学会(Diabetes UK)などによると、ストレスは糖尿病のある人の血糖管理に影響をもたらす可能性がある。ストレスに対処できないでいると、血糖値が高くなり、糖尿病の合併症のリスクが高まる場合がある。

 糖尿病のある人は、糖尿病のない人に比べて、人生のある時点で不安を感じる可能性が20%高く、うつ病になる可能性が2〜3倍高いという報告もある。これらにストレスが大きく関わっている。

 糖尿病と上手く付き合うために、食事や運動、服薬などを自分で管理することを学ぶ必要があり、血糖値のチェックや、インスリン療法をしている人は自己注射を毎日しなければならない。高血糖に加えて、血糖値が下がりすぎる低血糖を心配している人もいる。

 誰もが人生で起こることを常にコントロールできるわけではなく、予期せぬストレスに対処するのは容易ではない。しかし、多くの場合でストレスに対する自分の反応をコントロールすることはできるという研究が発表された。

ストレスに対処するために行動することが大切

 米ボストン大学が発表した新しい研究で、ストレスに対処するうえで鍵となるのは、効果的な対策を講じて、行動に移せるようになることだと示された。

 「コーピング」は、ストレスに対処するための行動を意味する言葉で、ストレスの原因になる特定の問題や状況に対する対処方法をさす。ストレスの原因や対処法をみつけたり、ストレスに対する反応をコントロールし、情動的な苦痛を軽減することを目的にしている。

 研究グループは、退役軍人省の高齢化調査に参加した基準年齢が68.4歳の男性743人を追跡して調査した。参加者は1993年~2002年に、ストレス対処についての評価を受けた。

 参加者に、過去1ヵ月間に起こったもっともストレスの多い出来事をあげてもらい、それが自分にとってどれくらいのストレスになったかや、対処するためにどのような努力をしたかを申告してもらい、全死因死亡リスクなどとの関連を評価した。

関連情報

ストレスの多くはコントロールできる 行動が大切

 その結果、ストレスそのものと死亡率との関連はみられなかったものの、ストレスに対処する努力をしていた参加者は、そうでない参加者に比べ、慢性疾患が少なく、死亡リスクも低い傾向が示された。平均16.7年間の追跡期間に、64%(473人)がなんらかの原因で死亡した。

 「ストレスの効果的な対処法を学ぶことは重要です。ストレスと健康は関連があり、ストレスの多くは私たちがコントロールできる範囲内にありますが、そのことは見落とされがちです」と、同大学と国立PTSDセンターで臨床心理学を研究しているレウィナ リー氏は言う。

 「ストレスの影響を抑制し、感情的および身体的なバランスを維持するために、より積極的に行動することが大切です」。

 「いまあるストレスに効果的に対処できないでいると、将来のストレス要因に対処する能力が低下し、さらなる損失が引き起こされるという負のスパイラルにおちいる可能性もあります」としている。

「マインドフルネス」がストレスや燃え尽き症候群から守る

 英国のノッティンガム大学による別の調査では、「マインドフルネス」を導入すると、職場の従業員のストレスや不安、過剰な負荷を軽減できることが示された。

 マインドフルネスを日本語に訳すと、「気付くこと」「意識すること」という意味。(1) いま、ここにある体験に注意を向け、(2) 自分の偏見や願望にとらわれず、出来事をありのままにみる、という2つの要素が重要になる。

 とくにデジタル化が進んだ職場で、マインドフルネスは効果的だしている。マインドフルネスを、ストレス解消やメンタルヘルス改善に役立てる試みは増えている。

マインドフルネスはメンタルヘルス改善に有用であることが示されている
日本でも神経性やせ症の女性の不安に対するマインドフルネスの効果を検証する研究が行われている
出典:京都大学、2023年

 ノッティンガム大学心理学部などの研究グループは今回、英国のデジタル化が進んだ職場で働く142人の従業員から得た、インタビューにもとづく調査データを分析した。

 その結果、ストレスのネガティブな影響が少ないのは、デジタルが得意で、仕事に不安を感じることの少ない労働者や、マインドフルネスの高い労働者であることが示された。

 「多くの職場でデジタル化が進み、働き方も変化しています。従業員は絶えず進化するデジタル技術に適応しなければならず、そのことをストレスに感じることもあります」と、同大学のエリザベス マーシュ氏は言う。

 「企業などは、職場での心理社会的および身体的なリスクや、職場のデジタル化がもたらす危険を管理する方法を検討する必要があります。マインドフルネスによるストレス管理を学ぶことは、働いている人の健康を改善するのに役立つ可能性があります」としている。

stress and diabetes (英国糖尿病学会)
Ease Diabetes Stress (米国糖尿病学会)
Diabetes and Mental Health (米国疾病予防管理センター)
Study Finds Coping is Related to Longevity in Older Men (ボストン大学医学部 2024年3月19日)
The Costs of Coping: Long-Term Mortality Risk in Aging Men (Journals of Gerontology: Series B 2024年3月19日)
Mindfulness at work protects against stress and burnout (ノッティンガム大学 2024年2月26日)
Mindfully and confidently digital: A mixed methods study on personal resources to mitigate the dark side of digital working (PLOS ONE 2024年2月23日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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