糖尿病 男の悩み ―糖尿病と性機能低下―

2006年04月01日

1. 男の人生の活力と性

E. 中高年者が等身大に生きるとは?

a. 生き物として正しく生きることは自律神経のバランスとること

 人間生き物でありながら、生活の忙しさに追われ追われているうちに、頭脳中心のロボット的人間になり切ってしまい、気づいたら生身の身体の方がいろいろな心身の問題を抱え込んでしまっているようになります。それはそれなりに生活上止むを得ないところかも知れません。しかし、それではならないという最近の社会的な流れの中で、その補正のための対策として、医学の出番が強く求められて来つつあるわけです。このホームページの目的もその問題点を医学的立場から少し積極的に考えてみようということなのです。

 しかし、それはそれとして、心身症に悩める方、また現在は問題らしいものはないがそうなりそうな生活をしておられる方々に、まず、生き物としての自分を、いわゆる“等身大”に、生き物のレベルで見直して欲しいのです。さらには今後の自らの心や身体を如何に愛しむべきかを、考え直す時を持っていただきたいものです。筆者の医師としての中高年男性に対応している経験からして強く感じているところです。

 人間機能は、さまざまな機構で動いてはいますが、“自律神経による調節が基本”です。昼の神経である“交感神経”と夜の神経である“副交感神経”の巧みなバランスのもとに動いるのですが、そのバランスは必ずしも安定でなく、生活の仕方でかなり乱れ勝ちなのです。簡単に言えば、緊張したり、いらいらしたり、心理的に興奮すると交感神経優位になり、気を静め心を落ち着かせれば副交感神経が指導権を握ることになります。

 日常の生活の中で、その振り子が左右に揺れていても、大抵の乱れは、夜の睡眠時の休養時の副交感神経の働きで、補正され、日々乱調もなく生活できているのです。

 若く、車で言えば新車のうちは、夜の休養で回復するが、車検期にあたる中年に差し掛かると、回復が十分でなく乱調が溜まり、体調が崩れてくるのです。ことに中年の人生の華の時代は、それなりに社会的ストレスの多い生活を強いられており、より乱調になりやすいわけです。

 中年男性は衰えを感ずる体力の増進のため、よくジョッギングやスポーツクラブなどに励まれますが、それはそれとして重要なことですが、もっと生き物として基本の交感神経バランス、ことに副交感神経活動レベルの維持・活性化に深い関心をもって、それに向けたエクササイズ(例えばヨガなど)を心掛けるべきであると思います。

 細かくは、後の章で述べますが、そのような自らの生物学的体調維持・補正意識なくしては身体の車検期・またその後の体調保持はできないわけです。生き物としての、また年齢相当の等身大の生活意識をもつことが、まさに中高年すなわち更年期・熟年期の方々の生活必須条件言って過言ではありません。

 その意識をもって現在の自分の体調・生理を考え、見直しながら、これからの説明を読んでいただきたいと願っております。

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※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。

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