D. これからの糖尿病治療

a. 「糖尿病の男性は ED になる」は正しいか？

　糖尿病と ED・性機能低下の関係、理解していただけましたでしょうか？　次回は、糖尿病がどのようにして ED を起こりやすくするのかについて、もう少し詳しくお話ししていく予定です。

　今回の話の最後に、冒頭に挙げた「糖尿病の男性はインポテンツ（ED）になる」という言い方を、改めて振り返ってみましょう。そうすると、この言い方は100パーセント間違いではないけれども、多くの大切な情報が抜け落ちてしまっていることがおわかりになると思います。

　例えば・・・糖尿病になったからといって誰もが ED になるわけではないこと、糖尿病でなくても ED に悩んでいる患者さんはたくさんいること、糖尿病の男性が糖尿病以外の原因で ED になることもあること、ED は単に患者さんご自身の問題にとどまらないケースもあること、今は ED を割と簡単に治せること、ED の治療によって糖尿病の治療にも良い影響を与える可能性があること――などなどです。

　こういったことを、糖尿病性 ED の患者さんだけでなく、多くの糖尿病患者さんとそのパートナーの方に知っていただく必要があります。

ED 治療の効果は、性機能の改善だけにとどまらない

b. 糖尿病と ED 治療。これまでと、これから

　古くから「糖尿病で ED になる」という情報が、社会に浸透していった背景には、性機能の維持が男性にとって深刻な問題であるという基本的な理由のほかに、恐らく、次のような原因があるのではないかと思います。

1. 昔は今と違って医学情報が一般の人に伝えられる機会が少なかった
2. 糖尿病自体がまだ少なく珍しい病気だった
3. 糖尿病の治療が今ほど十分ではなく、合併症が起きやすかった
4. ED の治療法がないため、一度なったらもう終りだと思われていた
5. ED についておおっぴらに話す社会的な雰囲気がなく、ED に関する情報はウラ情報として一人歩きしやすい状況だった
6. ED が治療を必要とする病気だとは思われていなかった
7. 医師の側も ED 治療の必要性に気づいていなかった

　これらのことは、今ではもう問題にならなくなってきています。糖尿病であってもしっかり治療していれば合併症の発症・進行を抑えられますし、そのための治療は日本全国どこでも受けられます。治療に関する情報も十分に供給されています。そして、たとえ ED になっても治療できます。また、医療従事者の多くが ED 治療の必要性を十分理解しています。

ED 治療で QOL が向上する

　残っている問題は、患者さんが ED 治療の最初の一歩を踏み出すか、それとも踏み出さないままでいるのか、という違いです。

　このページをご覧になった方は、多少なりとも ED に関心があるのではないかと思います。そしてあなたがもし今、ED の心配をされているなら、ぜひ最初の一歩を踏み出していただきたいと思います。まずはご自身で、ED かそうでないのかチェックしてみてはいかがでしょうか？

ED チェックコーナー ▶

c. 最初の一歩の差がいつまでも続く

　チェックの結果はどうでしたでしょうか？　ED が心配なら、糖尿病の主治医に相談してみてください。通院をしていない方や、どうしても主治医には言いづらいという方は、ED 治療に力を入れている医療機関を探して受診してみましょう。そういう医療機関なら、医師だけでなく看護師や受付のスタッフも ED 治療の大切さを理解し、患者さんの迷いを心得ていますから、必ずしっかり対応してくれるはずです。

ED に詳しい医療機関の検索 ▶

「病院で恥ずかしい思いをしたくない」と、迷うことはありません。インターネットでは、ED 治療を行なっている医師からの激励のメッセージが掲載されているサイトもあります。また医療機関での診療の流れも簡単に説明されています。

　これを読んだら、今度はぜひ、医療機関へ足を運んでいただきたいと思います。

初めの一歩が大切！

激励メッセージはこちら ▶