尿糖チェックで糖尿病コントロール

2010年05月20日

事例1 【食後高血糖の有無がわかる】


 食品メーカーに勤務する52歳の男性、Aさん。毎年、会社の定期健康診断を行っていますが、ここ数年、血糖値や血圧がやや高めとの結果が出ているものの、診断上ではセーフ。とくに精密検査を受けることもありませんでした。

 ある日、テレビの健康番組で"隠れ糖尿病"に関して話題がのぼり、自分は大丈夫なのか心配になりました。"隠れ糖尿病"とは「食後高血糖」のことで、食前の血糖値が正常でも、食後1〜2時間の血糖値が高いと、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患の発症が増えるというもの。2型糖尿病や境界型(糖尿病予備群)の人に現れやすいそうで、糖尿病初期の危険サインとしても、その状態を把握することが重要なのだとか。通常の健診では、糖尿病が進んだときに上がる空腹時血糖値しか測定しないので、「食後高血糖」のチェックは、糖尿病の早期発見にもつながるとして注目されているそうです。

 Aさんは、ここ10年ほどで5キロ以上太ったし、接待や出張の多い仕事柄、自分の健康状態が気になっていたので、会社の診療所で相談したところ、自宅で簡単にできるという尿糖測定を勧められました。尿糖測定を行う尿検査薬は、会社帰りにドラッグストアですぐに購入できたので、翌日の朝食後から測定してみました。朝食を食べて2時間後に、試験紙に尿をかけてみたら陰性(−)。胸をホッとなで下ろしました。ですが、その夜、接待があり、飲んでの帰宅後、寝る前に試しにと測定したら、なんと陽性(++)反応。その翌日、お酒は飲みませんでしたが、夕食後の測定でまた陽性(+)だったので病院へ行きました。病院で、経口ブドウ糖負荷試験を行ったところ、嫌な予感が的中。「食後高血糖」が見つかったのです。先生によると、経口ブドウ糖負荷試験ではじめて糖尿病と診断される人が、糖尿病患者さんの半数近くもいるのだとか。

 尿糖測定は、前回の排尿から今回の排尿までの間に起こった結果を反映するので、一定以上血糖値が上がると尿にあふれ出てくる尿糖の有無、つまり、食後高血糖の有無をチェックするのに手軽な手段なのです。


(出典:テルモ「健康ガイド」より)

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※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。

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