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2011年11月15日

世界の10人に1人が糖尿病 2030年までに5億人超 国際糖尿病連合

 国際糖尿病連合(IDF)は11月14日の世界糖尿病デーに合わせて、世界の糖尿病に関する最新の調査をまとめた「糖尿病アトラス 第5版」を発表した。それによると、糖尿病とともに生きる人の数は、2011年現在で3億6600万人に上る。糖尿病は急増しており、有効な対策を施さないと、2030年までに5億5200万人に上昇すると予測している。
日本を含む西太平洋は世界最大の糖尿病地域
 世界で糖尿病とともに生きる人の数は3億6600万人。10秒に3人、年間にすると1000万人が新たに糖尿病を発症している計算になる。IDFは、糖尿病を発症していても診断を受けていない、糖尿病と気づいていない人の数は1億8300万人に上ると推測している。

 「糖尿病アトラス」では、世界を7地域に区分し統計値を出している。日本が含まれる西太平洋地域は、世界でもっとも糖尿病人口の大きい地域だ。糖尿病有病数は1億3190万人(成人人口の8.5%)で、2030年までに1億8790万人に増加すると予測されている。特に中国は、糖尿病有病数が9000万人に上る世界最大の糖尿国となっている。

世界の糖尿病人口

 この地域は糖尿病による死亡率も高く、2011年の全死因の15%は糖尿病によるもので、60歳以下の生産年齢人口の死亡の半分近くが糖尿病と関連があるとみられている。自分が糖尿病であることを知らない人の数は7350万人に上り、糖尿病の適切な診断と治療が求められている。

 国際糖尿病連合西太平洋地区(IDF/WPR)議長の清野裕氏は「中国はもっとも糖尿病の脅威が拡大している国だ。生産年齢人口の約97万3000人が糖尿病が原因で死亡しているとみられ、深刻な事態となっている」と言う。

 中国に次ぐ経済成長を遂げているインドでも糖尿病は急増しており、糖尿病人口は6000万人を超えた。インドは小児人口の多い国で、小児や若年の1型糖尿病患者数も多く、1型糖尿病の小児人口は11万2000人とみられている。糖尿病が関連する死亡数は98万3000人と推定されている。

糖尿病有病者の80%は低・中所得国に集中
 糖尿病は先進国だけでなく途上国でも増えており、感染症が医療の焦点だった期間の長かったアフリカ地域でも、糖尿病は2030年までに90%増加し、うち78%は糖尿病の診断がされず、自己管理もできない患者が爆発的に増えると予想されている。

 「糖尿病は多くの障害をもたらす深刻な病気だ。世界の多くの国や地域で、糖尿病に対する戦いは劣勢を強いられている」とIDF理事長のJean Claude Mbanya氏は言う。「私たちは、2011年の世界糖尿病デーをきっかけとして、糖尿病をめぐる現状を世界に広く知らせたいと考えている。世界の指導者は糖尿病に対する有効な対策を促進するべきだ」と述べている。

 9月に米ニューヨークの国連本部で、国連に加入する各国の首脳級ら193人が集まり話し合う「ハイレベル会合」(high-level conference)が開かれた。生活習慣の改善や早期発見・治療により改善が可能な、2型糖尿病、心筋梗塞、がんなどの「非感染性疾患(NCD)」に対し、国際社会が協力して取り組むべきだとする宣言が採択された。

 「これらの疾病の脅威は深刻であり、緊急の対策が必要であるという結論が出た。世界で協力し合い、糖尿病などの疾患に対する取組みや支援、対策を加速していくことが求められる」IDFのCEOでNCD連合の議長でもあるAnn Keeling氏は話す。

 糖尿病とともに生きる人々が手をとりあい、糖尿病の対策と改善を呼びかけ合う、世界糖尿病デーのような世界規模のキャンペーンが今後も継続される。

Diabetes Atlas(国際糖尿病連合)
世界糖尿病デー(国際糖尿病連合)
世界糖尿病デー 公式ホームページ [世界糖尿病デーイベント実行委員会]

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[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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