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2012年01月05日
血液のかわりに涙で血糖自己測定 実用化へ向け前進
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- 医療の進歩 糖尿病の検査(HbA1c 他) 血糖自己測定(SMBG)
血液の代わりに涙から血糖値を測定する新しいタイプの血糖測定器を開発する研究が米国で行われており、このほど実験が成功したと発表された。この研究は、米国化学学会(ACS)が発行する科学誌「journal Analytical Chemistry」に発表された。
涙で血糖測定 高感度センサーを開発
糖尿病の治療では、多くの血糖測定器が使用されており、いずれも正しく使用すれば正確な測定値が得られる。器機やデバイスも改善されており、必要な血液な検体量はより少なくなり、測定時間はより短縮されている。血糖測定器も小型化が進み、より扱いやすくなった。
しかし、血糖自己測定では患者が自分で指先などで採血しなければらならず、必要な血液量はわずかであっても、自分で穿刺するのは苦手という患者は少なくない。
ミシガン州立大学化学検査学部のMark Meyerhoff氏は、「世界の糖尿病患者数は3億5000万に上り、世界の人口の約5%が糖尿病をもっている。米国だけで糖尿病有病数は約2600万人に上る。糖尿病は増加を続けており、血糖自己測定に対するニーズは多い」と説明する。
血糖を適正にコントロールするには、血糖自己測定で血糖の動きをモニターし、コントロールができているかどうかをチェックする必要がある。特に、インスリン療法を行っている患者は、血糖の状態によってインスリンや食事などの調整が必要なため、きめ細かい血糖のチェックが必要となる。
「血糖自己測定は小型の血糖測定器を使い行い、指先などで微細な穿刺針(ランセット)を内臓した穿刺器で採血して行う。穿刺器具やランセットは改良が加えられ、より痛みが少なく安全に採血できるようになっている。しかし1日に数回の血糖測定が苦痛だという患者は少なくない」とMeyerhoff氏は話す。
そこでMeyerhoff氏らの研究チームは、血液の代わりに涙から血糖値を正確に測定する、新しい非侵襲の測定器の開発に取り組んでいる。
ヒトの代わりに12匹のウサギを使った動物実験では、涙による血糖測定は血液との相関が高いことが示された。「涙による血糖測定は実現可能であることが示された。1日に数回の侵襲性の血糖測定を強いられている患者は、涙から測定できるようなれば苦痛から解放されるだろう」と述べている。
涙から血糖測定する技術は1930年代にすでに考えられていたが、正確な測定値を得る技術の開発は難しかった。涙液の血糖レベルは血液に比べ30〜50倍希釈であり、少量の体液から感知する高感度のセンサーを開発しなければならなかった。新たに開発された針センサーは、涙液中の血糖レベルを1.5ミクロンの精度で読み取る非常に高感度なものだ。
「涙液の血糖レベルは血液に比べ大幅に濃度が低い。さらに、涙液を採取するときに目を擦って刺激しないようにしなければならない。ストレスの影響も大きいという課題がある。今後さらなる研究が必要だ」と研究者らは説明している。
Tear drops may rival blood drops in testing blood sugar in diabetes(米国化学学会 2011年11月9日)Measurement of Tear Glucose Levels with Amperometric Glucose Biosensor/Capillary Tube Configuration
Anal. Chem., 2011, 83 (21), pp 8341–8346 関連情報
国内で使用されている血糖測定器と穿刺器具(糖尿病リソースガイド)
血糖測定器・ランセット〈自己血糖測定器〉
血糖測定器・ランセット〈穿刺器具〉
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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