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2012年07月06日

糖尿病を抱えて働く人を支援するガイドライン作成へ

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 糖尿病などの病気を抱えて働く人々の治療や就労の支援のあり方を考える厚生労働省の検討会は、企業や医療機関などが支援をどのように行うべきかを示したガイドラインの作成が必要とする報告書をまとめた。

治療と職業生活を両立できる環境づくりを推進
 糖尿病などの疾患をかかえているために、仕事を理由として治療機会を逃したり、治療が理由となり仕事を続けられなくなる人は少なくない。糖尿病患者が「治療と職業生活の両立」をはかりながら、いきいきと生活していける環境づくりが社会にも求められている。

 糖尿病はがんなどに比べ軽視されがちで、治療を中断する患者は多い。厚生労働省の調査によると、医師から糖尿病と言われたことがあっても、ほとんど治療を受けていないという人は約4割に上る。

 また、「J-DOIT2:日本糖尿病学会による糖尿病治療中断抑制の活動研究」によると、定期通院を自己中断した主な理由としては、「仕事が多忙である」との理由が多く(51%)を占める。治療の中断率は、男性・若年・サラリーマンや専門職に多い。

 報告書では、多くの労働者にとって治療と職業生活の両立が困難となっている要因として、労働者、企業、産業医・産業保健スタッフ、医療機関などの関係者の取組や連携が十分でないことを挙げている。

 日本の労働力人口が減少に転じた。経済社会の活力を維持するため、より多くの人が社会の支え手として活躍できるよう全員参加型社会の実現に向けた環境整備が求められている。

 糖尿病患者にとっては、健康な状態で働くことが第一で、たとえ病気により休業、休職したとしても、職場復帰し、いきいきと働き続けることが重要となる。企業にとっても、コストをかけて人材育成を行ってきた労働者を、病気を理由として失うより、治療を行いながら働き続けてもらった方がメリットが多い。

 報告書では、企業や産業医、医療機関が取り組むべき支援施策として、次のことをガイドラインやマニュアルで示す必要があると指摘した。

  • 糖尿病患者の中には、上司・同僚に病気を知られたくない者もいる。まずは産業医など産業保健スタッフが、職場の管理職が職員の病状を把握できているかどうかを調査・把握すべき。
  • 就業時間外の診療を可能とするような環境整備や、病院と職場との連携をはかることが、糖尿病を悪化させないために重要となる。
  • 糖尿病について広く周知をはかるとともに、健診受診や医療機関受診の機会を捉えた保健指導、情報提供の実施など、本人の行動の変化につながる効果的な方策を検討すべき。

 厚労省は報告書を受け、近くガイドラインを作成するほか、具体的な支援策を検討していく。

関連情報
「どこでもMY病院」実証事業で報告書 経産省(糖尿病NET)

第7回治療と職業生活の両立等の支援に関する検討会(厚生労働省)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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