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2013年12月17日

ES細胞からインスリン分泌能高いβ細胞を作製 熊本大、マウスで成功

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医療の進歩
β細胞に分化 インスリン分泌量は約200倍
 ES細胞やiPS細胞から膵β細胞を作り出すために必要な条件は、(1)肝細胞への分化誘導の効率を高めること、(2)血糖値に応じてインスリンを分泌する能力があること。

 実験の結果、2つの条件を満たす、β細胞への効率的な分化を促進する2種類の化合物を特定した。

 ひとつは、細胞内小胞に存在するモノアミン量を調節する因子である「VMAT2」。アミノ基を一個だけ含む生理活性分子を「モノアミン」と呼ぶ。モノアミンにはβ細胞の分化を阻害する働きがある。VMAT2に膵臓のβ細胞を増やす効果があることがあきらかになった。

 もうひとつは、細胞内シグナルの中でも重要な働きをしている分子である「cAMP」。cAMPはさまざまな細胞反応を調節している。cAMPを添加することで、β細胞の成熟化が促進され、グルコース濃度に応じたインスリン分泌が可能になった。

 できた細胞を糖尿病のマウスに移植すると、3週間後には血糖値が正常値に改善した。β細胞の誘導効率はこれまでの約10倍に、インスリン分泌量を約200倍に高めることができた。

 坂野助教は「今回できた細胞は体内にあるものとほぼ同じ能力がある。今後ヒトのiPS細胞でも研究を進め、ヒトのiPS細胞でも同様の成果を挙げたい。体内に膵臓細胞を入れたカプセルを埋め込んで、血糖値を下げるなどの治療も考えられる」と話している。

熊本大学発生医学研究所

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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