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2014年04月11日
和食の理想は「1975年のメニュー」 内臓脂肪をためずに老化を抑制
「和食」は日本人の伝統的な食文化としてユネスコの無形文化遺産に登録され、食文化だけでなく、ヘルシーな面からもあらためて注目が集まっている。その中で、いつの年代の和食が理想的なのかを調べた研究が発表された。現在60歳代の人が20歳代だったころの和食がもっとも健康的であることが判明した。
1975年ごろの和食がもっとも健康的
「1975(昭和50)年ごろ」の和食が、長寿や健康維持にもっとも効果的であることを、東北大学大学院農学研究科食品化学分野の都築毅准教授らがマウスで実証し、3月に開催された日本農芸化学会や日本薬学会で発表した。
都築准教授は、和食の特徴として「低カロリー、低脂肪で、植物性食品や魚介類、納豆などの発酵食品、海藻、緑茶の摂取が多いこと」を指摘。
和食は戦後、大幅に変化した。2010年と1950年を比較すると、10年は1人当たりのコメの消費量が半減した一方で、肉類などの動物性タンパク質は2倍、脂質は3倍になった。
いつの年代の和食がもっとも健康に良いのかを調べるため、研究チームは国民栄養調査などをもとに、1960年、1975年、1990年、2005年の和食の平均的メニューを作り、調理したものを凍結乾燥・粉末化した。
それを通常のえさに混合して老化促進モデルのマウスに8ヵ月間食べさせた。その結果、もっとも老化が遅く長寿だったのは、1975年ごろの和食を食べたマウスだった。
1960年の朝昼夕3食の平均的なメニューは「炭水化物の割合が多く、おかずの種類・量が少ない」特徴があり、75年に比べると栄養バランスに劣る。
1990年は「乳製品や肉類が豊富だが、食の欧米化の影響で脂質が増え、野菜類はもっとも少ない」傾向にあり、体重増加量は75年より多く、エネルギー消費も少なかった。
2005年は「炭水化物が少なく、肉類、油脂類が多く、魚介類が少ない。単身者が増え、おかずの少ない丼ものなどの単品メニューが目立ってきた」特色がある。
和食は栄養バランスが良く、食材の種類も多い
1975年の典型的なメニューを調べたところ、食品の流通も進み、多様な食材を使えるようになっていた。日本の伝統的な食材の魚介類や大豆などに加えて、野菜や果実も通年で手に入るようになり、卵や豆類などもよく使われていた。ワカメやヒジキなどの海藻を多く食べており、食物繊維が豊富にとれていた。
そのころの和食は、内臓脂肪が蓄積しにくく、脂肪肝の発症リスクも抑制されており、血中のコレステロールの値が低いことが判明した。また、肝臓での脂肪分解が活発に行われているのに加え、学習記憶能の維持にも有効で、がんの発生率も低かった。
「日本人の食事は時代とともに変わってきた。食事により非常に多くの食品成分を同時に摂取しているため、食事全体が生体に及ぼす影響を検討することは重要。昭和50年代の平均的な和食が、もっとも健康に良かったことを、実験的な根拠をもとに示したはじめての研究だと思う」と、都築准教授はリリースで述べている。
1990年ごろから現代にかけては、欧米食の影響を受けすぎて、伝統的な和食の良さが失われてきたといえる。食事面からだけみると、和食の長寿効果をもっとも受けているのは、いま70歳ころになっている世代だろう。
健康長寿のためには、食事の過度な欧米化は避けて、伝統的な和食の価値を見直し、魚介類や野菜を多く食べるなど、多くの食材を少しずつ食べることが望ましいという。
東北大学農学研究科・農学部各分野
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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