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2016年08月11日

夏場のインスリンの保管に注意 インスリンは高熱に弱い

 インスリン製剤やGLP-1受容体作動薬は、バイオテクノロジーを用いて作られるタンパク質由来のバイオ医薬品なので、熱による変性が起こりやすい。夏に保管するときは、温度管理が重要となる。

インスリン製剤やGLP-1受容体作動薬は高温に弱い

ほとんどのインスリン製剤やGLP-1受容体作動薬は、外を持ち歩くときや、室内では、できるだけ30℃を超えないように保管する必要がある。
 30〜37℃までの常温なら変性はおこりにくいが、夏場は高温になりやすいので、注意が必要だ。タンパク質の変性とは、卵を焼くと白くて固くなるように、熱などの刺激によりタンパク質の性質が変わってしまう現象だ。

使う前によく振るタイプの混合型インスリン(ノボラピッドミックスやヒューマログミックスなど)は、高温下では変色したり、沈殿物が混ざらなくなることがある。薬液が半透明や透明になっている場合は使用せず、新しい製剤を使う。

透明なタイプのインスリン製剤は、高温下で変成すると白濁するなどの変化がみられることがある。このような変化がみられた場合には使用せず、新しい製剤を使う必要がある。

インスリン製剤やGLP-1受容体作動薬の保管場所としてよいのは温度変化の少ない涼しいところ

インスリンは、開封前には冷蔵庫内に2〜8℃で保管し、開封後にも暗いところに室温で保管をする必要がある。(1)自動車の中、(2)直射日光が当たる場所、(3)海水浴場、キャンプ場などは高温になりやすいので注意が必要だ。

製剤の適正な保管温度を保つために、受診後帰宅するまでに手荷物として持ち運ぶことがポイントとなる。特に駐車した自動車の中は50℃以上になることがあるので放置しない。
 直射日光があたる窓際だけでなく、日の当たらない後部座席でも、夏には40℃以上になることがあるので注意が必要だ。冷房の効いていない車中にインスリンを置く場合は、保冷バックを活用し、直射日光が当たらない場所に保存すると熱変成を防げる。

インスリンを保冷する方法

夏の旅行など炎天下で長時間持ち歩く時は、保冷バック(凍結保冷材)を活用する。冷蔵庫で冷やした保冷剤を、製剤に直接ふれないようにタオルで包み、いっしょに保冷バックに入れる。
 500gの凍結保冷材を使用すると、約5時間にわたり30℃以内で保管することが可能になる。保冷バックや保冷剤は100円ショップなどで購入することができる。

保冷剤の用意がない場合は、冷やした飲み物のペットボトルを製剤といっしょにバッグに入れる。湿ったフェイスタオルでポリ袋に入れた製剤を包んで、気化熱を利用して保冷する方法もある。

未使用の製剤の保管方法 使用期限に注意

未使用のインスリンは、冷蔵庫のドアポケットに保管し、凍結しないように気をつける。インスリンが凍結すると、変性が起こってしまったり、インスリンカートリッジが破損することがあるので、冷蔵庫の冷凍室には入れない。夏場に冷蔵庫を「強冷」に設定すると、冷気の吹き出し口の温度が下がるので注意。

使用中のインスリンやGLP-1受容体作動薬は常温で保存できるが、使用期限は製剤によって異なるので、ラベルや外箱の記載を見て確認する。

血糖自己測定器の測定チップも高温には弱い

測定器は極端に暑い場所や、湿度の高い場所では正確に動作しない可能性がある。また、測定用チップ(試験紙)の保存場所にも注意が必要だ。高温・低温の環境や、湿度の高い場所に置いて保存するとエラーの原因になる。

特に注意が必要なのは、直射日光が当たる窓際や、車の中など。高温での保管は測定用チップが劣化するおそれがある。夏場の保管は直射日光・高温を避けて、30℃以内の室温で保管する必要がある。

熱中症を防ぐための5ヵ条 軽症のうちに対処し熱中症を予防

 熱中症にかかりやすいのは高齢者、糖尿病など慢性疾患のある人だ。特に糖尿病の人は、高血糖の状態が続くと神経障害や皮膚の血流障害が起こりやすく、熱中症の症状に気付きにくくなっている場合があるので注意が必要だ。

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[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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