いま、1型糖尿病は/内潟 安子先生
2012年02月23日
新薬ラッシュだけどやはり食事!
1999年を最後に、その後しばらく新しい薬効をもつ薬が登場していませんでしたが、2009年末から久しぶりの新薬であるインクレチン製剤が登場しはじめたというわけです。
これは食後の血糖上昇を抑え、そして食前血糖値をいたずらに低下させないという、まさしく理想的な薬剤になると、大いに期待されて、臨床試験においてもそのようにうまく薬効が示されましたので、市場に出回るのが今か今かと待たれて、市場にでたわけです。
市場に出回りはじめてすぐ、他の経口血糖降下薬と併用して使用すると低血糖をおこしうることが判明し、日本糖尿病学会および日本糖尿病協会から、適正使用に関する提言が出されました。
インクレチン関連薬に関してはしょっぱなで、おこさないと言われていた低血糖をおこすこと、これからさらに詳しい解明もなされることでしょう。
これから市場に出てくる治療薬は、治療薬の効能と効果を最大限に発揮してもらうべく、患者さんも医療者も注意深く、そして上手に使用していくべきでしょう。
いまのところ2型糖尿病用の薬として開発されていても、1型糖尿病にも使用できそうという薬も出てくるでしょう。海外では試みもなされています。
食事の内容、食事時間、食事回数がどうであっても、薬やインスリン製剤がしっかりとフォローしてくれて、高血糖も起こさず低血糖もおこさず血糖コントロールしてくれるのだ、というふうにはならないのです。
三度の食事をきちんと取っているか、バランスはどうか、嗜好に偏りはないか、夕食は遅くなっていないかなどなど。
また一方では、厳密に行っているがゆえに空腹感でいらいらしていないか、これも大事なチェックポイントです。
プロフィール
内潟 安子
YASUKO UCHIGATA
東京女子医科大学名誉教授
1977年金沢大学医学部卒業
金沢大学医学部大学院卒業
富山医科薬科大学医学部 第1生化学に国内留学
米国国立衛生研究所(NIDR)に海外留学
東京女子医科大学 内科学第三講座主任教授 糖尿病センター長、
東京女子医科大学東医療センター 病院長、
東京女子医科大学附属足立医療センター 病院長を歴任
※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。
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