いま、1型糖尿病は/内潟 安子 先生

2025年12月18日

ロジャー・モーア プロジェクトが世界糖尿病デーを期してスタート

今年の世界糖尿病デーのJADEC目玉トピックス

 JADEC(日本糖尿病協会)は、糖尿病(ダイアベティス)についてその病型にかかわらず、正しい知識の普及啓発、アドボカシー活動を1961年から進めています。このコーナーの読者でしたら、JADECは毎年の「小児糖尿病サマーキャンプ」を管轄しているところだと覚えておられるでしょう。
 JADECは、今年の世界糖尿病デー(2025年11月14日)を期して、「新しく、ロジャー・モーア プロジェクトを活動開始します」と、報道各社に向けて発表しました(JADECのHP参照)。発表内容は特に1型糖尿病のお子さんに向けてのことですので、このコーナーでもその報道内容をたどってお知らせしたいと思います。

ロジャー・モーア プロジェクトとは?

 日本にて製薬企業を長年経営されてこられたロジャー・モーア氏から、日本の糖尿病の子どもたちの未来のために、継続的な支援をしたいという申し出がJADECにありました。
 長年、サマーキャンプをはじめ子どもの糖尿病の支援をしてきたJADECは、このご厚意をありがたくお受けし、早速、どのような事業を新しく発足させるとロジャー・モーア氏の熱い思いを形にすることができるのかと、検討を開始しました。JADEC理事長、ロジャー・モーア氏とともに、JADEC内の企画委員会とペイシェントサポート委員会/小児・ヤング糖尿病対策委員会から各々数名の委員が集まって活発な討議を半年にわたり行いました。そしてロジャー・モーア氏のご意見、ご承諾をいただいて内容を固め、最終的に本年の世界糖尿病デーの記念日に公開したという流れです。

このプロジェクトは何をするのか?

 1型糖尿病とともに生きる子どもたちとその家族にフォーカスを当てて、初年度は以下の3つの支援をすることにまとまりました。
 第一に、発症初期のお子さんへの支援です。発症直後のお子さん、ご家族には、強い不安や混乱があります。「糖尿病?」、「インスリン治療しかない?」、「どういうこと?」、「私はこれからどうなるの?」など、こうした不安を抱く子どもたちやご家族を日本全国地域格差なく支えることに注力する企画です。
 第二に、発症初期のお子さんをもつ保護者にフォーカスを当てた支援です。保護者同士で忌憚なく語り合える交流会や、小児期から成長して大人になり、そして熟年、老年期までを見据えて、発達段階・成長段階を見据えた糖尿病とともに歩む生活についての情報提供ツールを作ることなどです。
 第三に、学校環境への働きかけです。これは、多岐にわたる学校教育関連組織に対し、包括的に支援していく体制を作る実践的構想となります。

皆さんの思いを集めて明日の子どもたちのために

 JADECはこれまでサマーキャンプをはじめいろいろな支援をしてきましたが、ロジャー・モーア プロジェクトを起爆剤にして、発症直後という最も支援が届きにくい時期に焦点を当てた新しいアプローチを提示していくことになります。
 このプロジェクトが、色々なJADECのアドボカシー活動と連携し、「病気があっても夢を描ける社会」という価値観を広げるムーブメントになって社会全体に波紋を広げていきますと、JADECのHPでは記載されています。

Roger Moore Project 発足(JADEC)

追伸、JADECのアドボカシー活動もご覧ください
アドボカシー活動(JADEC)

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プロフィール

内潟安子先生 写真

内潟 安子
YASUKO UCHIGATA

1977年金沢大学医学部卒業
金沢大学医学部大学院卒業
富山医科薬科大学医学部 第1生化学に国内留学
米国国立衛生研究所(NIDR)に海外留学
東京女子医科大学 内科学第三講座主任教授 糖尿病センター長、
東京女子医科大学東医療センター 病院長、
東京女子医科大学附属足立医療センター 病院長を歴任

※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。

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