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「ケニヤッタ・ナショナル・ホスピタル」へ通院する小児1型糖尿病の患者さん(3)

2012年03月

ダマリス ンギナさん(10歳)

 

小学校に通っています。

1週間前から、口渇やトイレへ頻繁に行くようになり、食べたものや水まで嘔吐するようになりました。とうとう歩行困難や肋骨が異常に盛り上がるような状態になり、呼吸困難の症状をおこし、一昨日、「ケニアッタ・ナショナル・ホスピタル」へ搬送されてきました。

 

現在は点滴治療のみのため、食事の摂取やインスリン療法をまだ開始していない状態です。

 

ダマリスさんの家族は、母親と母方の両親(祖父母)・姉(伯母)・伯母の娘2人の7人家族です。

母親は清掃の仕事をしていましたが2か月前に契約期間が終了し、以後、失業している状態です。祖母や伯母も失業中のため、祖父の建設現場での仕事(同職種の平均的な月収は5,000円)で家族7人の生活を支えています。そのために、ダマリスさんの入院費用や今後の治療費用など、支払いの目途が全く立たない状態です。

 

ダマリスさんの母親は12歳の時に妊娠し未婚の母となり、小学校を中退することになってしまいました。その後、彼女は裁縫学校へ通い、衣服を仕立てることができるようになりましたが、ミシンを購入する資金が無いために仕事がない状況です。裁縫の仕事を行う雇用先も探していますが、なかなか見つからない状態です。

彼女が「裁縫の腕は確かなので、ぜひ、その関連の仕事を紹介してほしい」と私に訴えてきました。

 

また、歌の才能に恵まれているため、歌手デビューの機会も考えているのですが、なかなかそのチャンスにも恵まれない状態です。

 

ダマリスさんの伯母も、夫と離婚し娘2人と共に実家に身を寄せている状態です。

 

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「ケニアッタ・ナショナル・ホスピタル」へ運ばれてきてから、まだ、昏睡状態を脱していない状態のダマリスさんとお母さん

                                                               

 

キャロライン ムトニさん(9歳)

 

dka8.jpg小学校
5年生です。

周りの友達は、彼女が糖尿病であることを知っていますが、いじめなど一度も嫌な思いをしたことはありません。学校の先生がとても良く理解してくれているので、大変助かっています。

 

8歳の時糖尿病を発症し、3日間 昏睡状態で「ケニヤッタ・ナショナル・ホスピタル」へ運ばれてきました。最初は1か月間入院しましたが、退院後も経過が良くなかったため、再び2週間入院し、つい先日退院しました。

月に1回定期検診のために、マタツー(乗合タクシー)を利用して通院していますが、片道約300円かかります。

また、自分でインスリンを打つことができないために、お母さんに注射を打ってもらっています。朝に混合型10単位、夕方に混合型17単位のインスリンを注射しています。

 

血糖値はいつも高めで6モル(108?)を下回ったことがないため、低血糖の経験がありません。逆に高血糖の時には、頭痛や胃痛に悩まされます。

今日の診察では、恐らく主治医からインスリンを増量するように指示されるかと思われます。

4,500円もする血糖測定器を自己負担で購入したのですが、先日故障してしまいました。しばらくの間、病院から血糖測定器の貸し出しを受けていたのですが、返却しなければならず、今後、どうしたらよいか途方に暮れています。

経済的な事情でバランスの取れた食事を摂ることが難しく、食事療法を実践できない状態です。

 

キャロラインさんの家族は、母親と母方の祖母、中学1年生の姉と小学校2年生の妹の5人家族です。

両親は離婚していませんが、父親は家を出てしまい生活費を入れない状態であるため、母親が一家の生計を立てています。母親は自宅近所のスラム街の中にある美容室で働いていますが、日給は約200円です。

 

キャロラインさんの住いはナイロビ郊外にあるスラムの中にありますが、渋滞のため、通院に片道2時間以上かかります。

母親はキャロラインさんの通院の都度、仕事を休まなくてはなりません。また、妹も学校を休ませてキャロラインさんとともに病院へ通院しています。

 

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キャロラインさん(前左のピンクの上着)、お母さん、妹。高血糖が続いているためか、とてもダルそうな表情でした。

                                                                       

 

リリアン ムンブワさん(9歳)

 

小学校4年生です。

一昨日昏睡状態になり、最初は別の私立病院に搬送されましたが、リリアンさん一家の家計状況をみて、入院費等の支払いができないと判断されるや否や、「ケニヤッタ・ナショナル・ホスピタル」へ転送されました。

 

 今は看護師さんがインスリンを注射していますが、種類や単位数は分かりません。(アティエノ先生が患者カルテを見て、速効型だけを注射しているため、今後のことを考え、混合型に変える必要性と体重の割に多くの量を打ち過ぎていると横にいた医師に指導していました。)

  食事療法も、まだ指導を受けていない状態です。低血糖についても、まだ理解ができていません。前日の血糖値は、午前3時からの約1時間おきの血糖は、以下の通りでした。

3時:18.0mol340.2?)

4時:15.6mol280.0?)

5時:16.1 mol289.8?)

6時:16.5 mol297?)

8時:6.3 mol113.5?) と高い状態が続いています。

 

リリアンさんの住いはナイロビ市内にありますが、通院のためにマタツー(乗合タクシー)を利用しています。片道約300円かかります。

 

リリアンさんの家族は両親、父型の祖母、中学2年生の姉、小学校5年生の姉と幼稚園に通う4歳の弟の6人です。

既に他界した父方の祖父が2型糖尿病でしたが、身内に1型糖尿病の患者はいません。父親は大工で約5,000円、母親は事務の補助職で約6,000円の月収を得ています。

 

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(左)両親にインタビューしている間に疲れて眠ってしまったリリアンさん。高血糖が続き、いつも体がだるい状態が続いているようです。

(右)リリアンさんに付き添っている御祖母さん(中央)とご両親。私が病院に到着したとき、ちょうど、ご両親が来られました。

 

 

dka11.jpg  私が病院へ到着して数分後、配膳された昼食。食前にインスリン注射を打った気配もなく、食べていました。ご両親にインタビューしている数分間に眠りについてしまったのは、この明らかに炭水化物過多の食事(ご飯だけで茶碗
4膳分以上あると思われます)をしたために血糖値が急激に上昇してしまったためと思われます。

  以前、思わず、あまりにも栄養バランスを欠いた食事に栄養士を叱りつけてしまいましたが、全く改善はなされていないようです。

 
©2012 森田繰織
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