糖尿病セミナー

15. 糖尿病による失明・網膜症

2017年9月 改訂

糖尿病から眼を守るために

 ここで紹介した治療法は、すべて、より良い血糖コントロールを大前提にしています。血糖コントロールが良いほど網膜症が起きにくいことは、国内外の膨大な調査研究の一致した結果です。

血糖コントロールが悪いほど網膜症が起きやすいことについて、世界中の研究結果が一致しています。一例として、日本人を対象に行われた熊本スタディの結果を右図に示します。

 より良い血糖コントロールを心掛けたうえで、さらに注意していただきたいことを最後にまとめておきます。

精密眼底検査を習慣づけて
 網膜症は自覚症状に現れずに進行しますが、検査を受ければ早期に発見できます。早期であればあるほど、治療の成功率は高いものです。通常の生活習慣病健診の眼底検査は網膜の一部しか診ないので、糖尿病の患者さんは眼科医による精密な眼底検査を定期的に受けてください。

急な血糖コントロールに注意
 血糖コントロールが悪い状態が何年も続き、網膜症がみつかった途端、厳格なコントロールを始めると、網膜症が急速に悪化することがあります。このような場合、内科の医師と密接な連絡を取り合いながら、少しずつ血糖を下げてください。

運動療法を制限する
 より良い血糖コントロールには運動療法が不可欠ですが、増殖網膜症に進んでいる場合、激しい運動が眼底出血などのきっかけになることがあるので、散歩程度の軽い運動にとどめてください。

出産について
 状態が不安定な網膜症があると、出産によって病気が急に進み失明する危険もあります。事前に精密眼底検査を受け、必要に応じて光凝固などで網膜症を治療し、血糖コントロールがよくなった後であれば、妊娠・出産も大丈夫です。

『糖尿病眼手帳』を持ちましょう
 日本糖尿病眼学会から『糖尿病眼手帳』という手帳が発行されています。眼科と内科での検査結果や治療内容を記載でき、患者さんご自身のメモとしてだけでなく、内科医と眼科医の医師同士の連絡にも役立ちますので、通院の際にはぜひ携帯してください。
『糖尿病眼手帳』の入手方法は、内科または眼科の主治医にお問合せください。

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