糖尿病セミナー

23. 口の中の健康

2011年8月 改訂

どうすればよいのでしょう

 それでは、口の中の健康を保つ秘訣をご紹介しましょう。それは、なによりも「歯をよく磨くこと」、そして「より良い血糖コントロールをめざすこと」です。

歯磨きのポイント

物理的に歯垢を取る
 歯垢の除去には物理的な方法が一番効果的です。液体の口内洗浄液には歯垢が取れやすくする作用がありますが、うがいだけでは取れません。ブラシを使った物理的な歯磨きが必須です。磨き残しなくきちんと磨くには、最低1回10分はかかります。義歯(入れ歯)もしっかり清掃しましょう。
 物を食べたらその都度なるべく早く歯を磨くのがベストです。それが無理なら1日1回、徹底して磨いてください。その場合の歯磨きのタイミングは、夜、寝る前です。睡眠中は唾液が減って自浄作用がなくなり歯垢がこびりつきやすくなるので、その防止には寝る前の歯磨きが効果的なのです。

歯ブラシの選び方
 歯ブラシは小型で毛あしが長く、毛は硬めで弾力性のあるものが歯垢除去に効果的です。ただし血糖コントロールが悪い人では、毛が硬すぎると、歯肉が傷ついたとき細菌に感染することもあるので、コントロールを改善するまでは、毛がやわらかめのものを使います。
 最近、電動歯ブラシが普及してきましたが、ヘッド部分が古くなったまま使っている人が少なくありません。毛あしが開いてきたら早めにヘッドを交換しましょう。また、電動でも歯の間の細かい部分の歯垢はとれません。歯間ブラシなどによる歯の間磨きは必要です。
正しい歯の磨き方
 効果的なブラッシングの仕方は、自分にあった方法を歯科医師に相談するのがよいでしょう。ここでは、だれでもできて、清掃効果の高いスクラッビング法という方法を紹介します。
スクラッビング法=ブラシで床を掃除(英語のscrub)するのに似ていることから名付けられた歯磨き法
スクラッビング法
 歯の外側は歯ブラシの毛を直角にあて、歯の内側は少し斜めにあてて、小きざみに数ミリずつ振動させ、1〜2本ごとに磨く。歯と歯肉の境目に、歯ブラシの一部がいつもあたっているようにする。


歯間ブラシの使い方
歯と歯の間に直角に歯間ブラシを
入れて歯面にこすりつけるように
出し入れする
歯磨きとは「歯の間磨き」
 歯垢が溜まりやすいのは、歯の間の隙間や歯と歯肉の間です。歯の表面だけをブラシでなでて歯磨きをしたと勘違いしている人がいますが、歯磨きとは「歯の間磨き」だと思って、歯垢が溜まりそうな所をよく掃除しましょう。1日に1回は歯間ブラシや糸ようじなどで細部に溜まった歯垢を除去します。

歯磨き剤の清涼感に惑わされない
 歯磨き剤を使うと、よく磨けていなくてもすっきりした清涼感を得られます。そんな清涼感に惑わされ、磨き残しをしては大変です。それに、歯磨き剤は歯が変色するのを防止する効果がありますが、使い過ぎると歯を磨耗したり、歯肉を傷つけてしまいます。歯磨き剤なしでも歯垢の除去は十分できますので、使い過ぎに注意しましょう。

年3〜4回以上は検査を受けましょう

 どんなに正しく歯を磨いていても少しずつ歯垢が溜まってきますし、歯石ができてしまうこともあり、それは自分では絶対に除去できません。それらを早い段階で除去するために、定期的に歯科を受診しましょう。歯科受診の頻度は口の中の状態によって異なりますが、日本歯周病学会の『糖尿病患者に対する歯周病治療ガイドライン』では年3〜4回より高頻度の検査を推奨しています。

禁煙しましょう

 たばこを吸う人は、吸わない人より歯周病になりやすいことが明らかになっています。たばこは糖尿病の治療にも悪影響を及ぼしますので、ぜひ禁煙してください。

生野菜を食べ、甘いものは控えめに

 生野菜を噛み砕くと歯の自浄作用が高まり口の中の清潔に役立ちます。野菜類は糖尿病の食事療法のためにも必要ですので、積極的に食べるようにしましょう。逆に、糖分の多いものは歯垢の蓄積を促しますので、甘いものは控えめにしましょう。
 なお、満腹感を得るために食事の最初に生野菜を食べる人もいますが、歯の自浄効果のことを考えて、最後にも食べることをおすすめします。

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