東京女子医大糖尿病センター 小林浩子
第14回目のグループミーティングは患者さん22名、ご家族3名、医師7名(うちスタッフ5名)、看護師5名が集いました。患者さんの年齢は10代から40代、1型糖尿病と診断されて1ヵ月の方から30年以上の方まで本当に様々な出会いがありました。
今回は発症して1年未満の方が6名いらっしゃいました。発症間もない方は他の人たちがインスリンを注射しながらの毎日をどのように送っているかを知りたい、まだ自覚が乏しいのでミーティングへの参加をきっかけに糖尿病とちゃんと向き合いたいなど、参加動機を述べられました。 チャプレンは幼稚園の園長先生ですが、教育論的な立場から、たくさん訓練をうけた人とよい教育をうけた人とではどちらが優れているだろうかという話をされました。よい教育をうけた人は学んできた知識・技術を自分なりに応用して生きる力を手に入れることができます。
1型糖尿病は日本ではあまり多い疾患ではないですが、ここに来るとまるで世間話のように1型糖尿病の話ができます。普段は一人で病気に向きあわなければなりませんが、この場では気持ちを共有することで精神的にもリフレッシュできるという感想が印象的でした。
患者さんの生きる力を目の当たりにし、医師・看護師として患者さんにできることは多くないのだと実感した、そしてさみしい気持ちがした…という、医療スタッフからの意見もありました。しかしながらこの場では医療スタッフは患者さんの気持ちや実際の生活をじっくり聴くことができます。
目の前にいる人の話しの内容だけでなく、どんな気持ちで話しているかを考えて向き合うことはとても大切です。
東京女子医大糖尿病センター 小林浩子
当日は秋晴れの青い空が美しい勤労感謝日となりました。会場には患者さん19名(うち新しく参加された方9名)とそのご家族3名、そして医療関係者4名が集いました。
インスリンを調整しながら打っていると季節感は・・・ 以前東京女子医大糖尿病センターにおいて、多くの2型糖尿病患者さんの1年にわたるHbA1c値の平均(10年間の)をみたところ、年末年始に上昇し夏場に下がる傾向がありました(つまり、気温とミラーイメージになる)。しかし実際には個人差が大きいでしょう。果物が大好きな方は秋にHbA1cはあがりますし、夏が終わって涼しくなると運動するようになる方は同じ秋でも下がります。 1型糖尿病の方は皆さんご自分の生活に合わせてインスリン量を調整されますので、季節による変化があまり目立たないのかもしれません。
生活の中での疑問点を話しあうことが一番 1型糖尿病を発症して間もない方(今回発症して1年内の方が4名、参加されました)は、自分と家族と主治医の3つの関係のみの狭い世界に閉じこもりがちになりやすいものです。そこにインターネットから情報を得たとしても、不安や悩みを解決してくれません。
罹病期間の長いベテランも参加しているこのようなグループミーティングの中で、日々の生活の中での疑問点を話しあうのが一番だと思うという発言もありました。
1型と診断されてなにかプラスになることはありましたか 今まで気にも留めなかった食事について考えるようになり、バランスのよい食事を食べることでより健康的になれるかもしれません。また、このような会に参加することで、異業種の様々な年齢の方との出会いがあり、視野が広がっていくこともあるかもしれません。
希望、目標をみつける
東京女子医大糖尿病センター 小林浩子 11回目(2011年6月19日)のグループミーティングには、1型糖尿病患者さん17名とそのご家族2名、医療関係者は看護師9名、医師5名、検査技師1名、管理栄養士1名が集いました。 前回が震災の影響で中止となったので、今日でちょうど10回目となり、これまでの参加者ののべ人数は患者さんが約150名、医療関係者が約100名となりました。 「互いに理解しあおうと感じられるこの場を今後も大事にしていきたい」「いつもここでの時間を大切にしている」等の感想をいただいており、ここに改めてこのミーティングに関わって下さった皆々様に感謝いたします。
気持ち、本音と向き合い、何をしたいか考え
今回はチャプレンがデンマークコペンハーゲンの"森の幼稚園"を見学してきた話から始まりました。子供たちが森の中で自由に遊びます。ここでの幼児教育は、先生たちが指導や教育をするのではなく、子供の精神は子供の手に返すというスタイルです。自分の気持ち、本音と向き合い、自ら何をしたいかを考えて行動する子どもたちは、他の幼稚園児よりも生き生きとしており、成長してからは表現力が豊かで、コミュニケーション能力が高く、情緒が安定しているといわれているそうです。
糖尿病を治して行くのは本人
参加した医療関係者の参加理由の多くは患者さんの本音を知りたかったから。しかしながら患者さんからは、医療関係者の本音を知りたいとの声がありません。なぜでしょう?今回参加の患者さんは、印象に残っている医者やコメディカルからの言葉として「糖尿病を治していくのは本人、医療関係者はあくまでもサポート」「あなたがプロになるの!」と言われたとのこと。糖尿病は患者さん自らが本音で糖尿病と向き合い、日々の"血糖値とインスリン注射との"生活を生きていくわけで、医療関係者は患者の本音を知ることで初めてどんなサポートができるのかを知ることができます。
上から目線で検査結果を伝え、指導するだけの医療関係者では患者の本音を聞き出せるわけがありません。
こころの知能指数とは?
自分のホントの気持ちを知り、他人と互い本音で語り合える能力、「こころの知能指数*」という概念があります。この能力を高めるためには 1.他者から言われたからではなく自分できめること 2.自分の感情を自覚し、その理由を考え心のバランスをコントロールすること 3.生きていることの動機付けをすること 4.相手がどんな気持ちで何を話しているのか理解すること だそうです。 人と一緒に生きていくためには、この力を高めないと本当の関わりはできません。自分の気持ちを的確に感じ取り、人に言われたからではなく、自分がこうしたいと納得し、それに基づいて生きていくことが大切です。そうしないと糖尿病になったのも、血糖コントロールがよくならないのも、合併症がでてきたのもみんな周りの人のせいになってしまいます。
その人らしくしっかり歩んでいる
ノルウェーの劇作家、イプセンは「私たちは死ぬ時に目が覚める」という言葉を残しています。しかし死ぬ時に初めてこうすればよかった、ああすればよかったと後悔するのでは遅すぎます。
グループミーティングに参加していると、患者さんがいろんなことがある日常生活で糖尿病を自分の個性のひとつとして捉え、その人がその人らしくしっかりと歩んでいる姿に感動します。
*Daniel Goleman:Emotional Intelligence、Rndom House.Inc (Buntam Dell)、New York,1995 .(邦訳)ダニエル ゴールマン著(土谷京子訳):EQこころの知能指数(講談社プラスアルファ文庫),講談社、1998
東京女子医大糖尿病センター 小林浩子 人は"人との関わり""心のつながり"から心が満たされ、勇気をもって生きていくことができる。人と関わる場であるこの会場に、今回は患者さん9名、医療関係者2名、スタッフ7名が集まった。大きなひとつの輪となり、お互いの顔や声がじっくり見ること、聴くことができるくらいの人数であり、落ち着いた雰囲気の中で、みなさんの気持ちを聴くことができた。
夏に1型糖尿病を発症したばかりの方から病歴30年の方までいろいろな方が参加された。しかし病歴の長さにかかわらず、糖尿病患者さんにとって共通なのは毎日インスリン注射をして食事をし、血糖を管理しながら暮らしていることである。 東京女子医大糖尿病センター 小林浩子 第5回目グループミーティングは患者さん17名と医療関係者10名が集まり開催されました。患者さんの半分が初参加で、自分の気持ちを話して整理してみるよい機会になったようです。 糖尿病の子どもをもつ親御さんの話しになりました。自分が片足をなくしても、子どもの糖尿病を治してあげたいという親の真摯な気持ち。食事とインスリンを準備しても子どもが食べるかどうかわからない、低血糖になってしまうのではないかという戸惑い、子どもの将来への不安。たとえこれらの悩みを人と分かち合ったり共感することができたとしても消えることはありません。 東京女子医大糖尿病センター 小林浩子 シルバーウィーク最終日に第4回グループミーティングを開催しました。患者さん18名と医療関係者17名が集まりました。 うれしいことに今回もはじめて参加の方が数名おられまして、参加しようと思った気持ちを簡単に話していただきました。発症後したばかりで不安の中で手探りの毎日を過ごされているとか、ここに来て同じ病気の人に出会えて大きな勇気をもらったからまた参加してみたとか、若い頃から糖尿病と付き合ってきて力強く生きていくことを知り、今はむしろ病気に感謝しているという思いとか、様々の思いをお聞きすることができました。 東京女子医大糖尿病センター 小林浩子 第3回グループミーティングの日は、どんよりとした厚い雲の下、雨が激しく降りつける日曜日でした。患者さん16名と医療者14名が見はらしのよいビルの一室に集いました。 「私たちは生きていく上で専門家の意見をきき、それを選択していく自由があります。同時にその選択に責任を持つのも私自身です。」 「医療者は専門家としてどのように死や合併症から身体を守るかは教えてくれるが、その人がどう生きるかの手伝いはしません。」 東京女子医科大学糖尿病センター 小林浩子 春分の日に開催された二回目のグループミーティング。患者さん18名と医療関係者13名が集いました。 「皆さんは自分が寂しいなと思った時、逆に自分の心を閉ざしてしませんか?心を閉ざしてしまって他人が入って来れないようにしていませんか」というチャプレン先生の言葉で始まりました。 他の人に自分の心の傷を見せるのは嫌なことです。病気をひとりでかかえようとする、そして孤独に陥り、誰もわかってくれないとひがんでしまう。だれも愛してくれない、医療者もわかってくれないとまわりを責めて…糖尿病を発症してしばらく投げやりな気持ちで過ごしてきた方、悩みもせず淡々と過ごしてきて、このままでいいのかと確認をしたくていらした方、みなさんが正直な気持ちを語って下さいました。
小林浩子(東京女子医科大学糖尿病センター)
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全国から患者さん15名、医療関係者15名、総勢30名がひとつの場所に集いました。「ルールはありません。自分のことについて、経験や考えていること、感じていることを話して下さい。」との斎藤武先生の簡単なブリーフィングからミーティングが始まりました。
斉藤 武(山梨英和幼稚園・韮崎英和幼稚園・石和英和幼稚園園長 前糖尿病センター非常勤講師・チャプレン)
早いもので、前糖尿病センター長大森安恵先生から、チャプレンとして患者さんたちの心の支えになるように、「病人をいやす」務めを行うようにと、お話をいただいてから今春定年退職するまで、丸16年が過ぎました。
佐藤明子(東京女子医科大学糖尿病センター)
糖尿病センターでは若い糖尿病患者さんを対象に月1回グループミーティングを行っています。1995年3月に第1回目を行ってから1998年に4年目を迎えました。
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