開催報告

第13回 若い糖尿病患者さんとのグループミーティングのまとめ

  東京女子医大糖尿病センター 小林浩子

当日は秋晴れの青い空が美しい勤労感謝日となりました。会場には患者さん19名(うち新しく参加された方9名)とそのご家族3名、そして医療関係者4名が集いました。
 いつものように午前中は大きな輪になって一人ずつ自己紹介しながら今思っていることをお話していただき、午後は小グループに分かれて、今感じていることや皆さん同思っているかなどの質問をしたり、また傾聴したりの時間を過ごしました。

インスリンを調整しながら打っていると季節感は・・・
これから寒くなっていくにあたり、インスリン量の調整が必要なのかという問いかけがありました。病歴の長いいわゆる"ベテラン"の方からは気温によってインスリン量を変えていないとか、もともとその日その日で調節しているからわからないという意見が出てきました。

以前東京女子医大糖尿病センターにおいて、多くの2型糖尿病患者さんの1年にわたるHbA1c値の平均(10年間の)をみたところ、年末年始に上昇し夏場に下がる傾向がありました(つまり、気温とミラーイメージになる)。しかし実際には個人差が大きいでしょう。果物が大好きな方は秋にHbA1cはあがりますし、夏が終わって涼しくなると運動するようになる方は同じ秋でも下がります。

1型糖尿病の方は皆さんご自分の生活に合わせてインスリン量を調整されますので、季節による変化があまり目立たないのかもしれません。

生活の中での疑問点を話しあうことが一番
またインターネットなどで簡単に入手できる情報についても話題になりました。1型糖尿病についていろいろ調べてみても、自分の考えや不安をきいてもらえるわけでもありません。インターネット上の情報は一方通行です。中には偏った情報もあります。

1型糖尿病を発症して間もない方(今回発症して1年内の方が4名、参加されました)は、自分と家族と主治医の3つの関係のみの狭い世界に閉じこもりがちになりやすいものです。そこにインターネットから情報を得たとしても、不安や悩みを解決してくれません。

罹病期間の長いベテランも参加しているこのようなグループミーティングの中で、日々の生活の中での疑問点を話しあうのが一番だと思うという発言もありました。
 発症年齢やコントロールの状態は様々ですが、他の患者さんとの出会い、様々な体験談を聴く中で、ひとりひとりが生活の中で、新しいことにチャレンジしていこうという自信をもたれたようです。

1型と診断されてなにかプラスになることはありましたか
1型糖尿病を発症して間もない方からは"1型糖尿病と診断されて何かプラスになることはありましたか"という質問が参加者に対してありました。とても純粋かつ考えさせられる一言です。
 1型糖尿病と診断され、「インスリン療法を継続しなくてはいけません。低血糖・高血糖の危険があります。血糖コントロールが不良な状態が続くと合併症が出現します…」と言われます。そのような状況の中で、あえて糖尿病になって良かったことを挙げてみることは重要だと思いました。

今まで気にも留めなかった食事について考えるようになり、バランスのよい食事を食べることでより健康的になれるかもしれません。また、このような会に参加することで、異業種の様々な年齢の方との出会いがあり、視野が広がっていくこともあるかもしれません。

希望、目標をみつける
「なんで糖尿病になってしまったのかしら…」と原因を追及するばかりでは、何も変わりません。糖尿病と診断され、今のこの私を理解してくれる人がいなくてひとりぼっち…ではとてもさみしいです。生きていくには希望、目標をみつけることはとても大切です。
 糖尿病と診断されることで、「生きていく」意味を再確認する。以前よりしっかりと自分自身の人生を歩んでいくきっかけになるかもしれません。

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