開催報告

第24回 若い糖尿病患者さんとのグループミーティングのまとめ

東京女子医科大学糖尿病センター 小林浩子

第24回目のグループミーティング(2014年9月23日)には、患者さん43名、ご家族2名、医師6名(うちスタッフ4名)、看護師4名、薬剤師1名、栄養士3名と総勢59名の方にご参加いただきました。
 患者さんは1型糖尿病を発症して2年以内の方が15名、その中でも発症して6ヵ月以内の方が6名もおられ、とにかくわからないことが多いのでいろいろな経験をききたい、色々な話しをきいて病気と向き合う勇気がほしいといった声がきかれました。

「心を開くこと、悩み、悲しみを話すことが、癒しに通じます」とのチャプレンの挨拶の後、いつものように59名が大きな円となり手短に自己紹介から始まりました。
 ある女性は血糖コントロールをよくすればいいのだと聞いて必死でHbA1c値をよくしたけれど、結局は発症前と同じ生活には戻れなかった、と落胆を隠せない状況でした。
 ある男性は「悩んでいても仕方がない、今できることをしようという考えで前向きに生きています」と力強くおっしゃいました。

私の印象に残ったのはある女性の主治医の態度に関してのことです。患者さんは事実を伝えているのに、「それは医学的にありえない」と医師から返答されてしまったとのこと。
 医学的にはそうかもしれないが自分の経験したことも事実。しかしそれはありえないと言われ、納得いかないような寂しい思いをされたそうです。「伝えることが医学的にどうかわからないけれど、できればそのまま受け止めてほしい」というのが患者さんの気持ちです。
 医師は"評価"して診断し、治療を行う立場でもありますが、糖尿病と生きている患者さんの生活こそが真実であり、「そんなことはありえない」と評価する権限はないのだとつくづく感じました。

午後は約10人ずつ6グループに分かれて、じっくりと語り合いました。
 私の参加したグループでは、発症して1年ほどのSさんが、バドミントンの試合に参加するのを躊躇していると話されました。たしかにインスリン注射をしつつ試合にでるのはなかなか大変なこと。
 発症して16年目のKさんはテニスをする時に自分はどのような点を注意しているかを具体的に話して下さいました。「低血糖だとまずサーブが入らなくなってしまう、自分は糖濃度が異なる飲料を準備して飲み分けている」と話してくれて、私自身も勉強になりました。
 Kさんのお話を聞いてSさんは「やりたいことをやっていこうと意欲的な気持ちになれました」と感想を述べて下さいました。
 少人数での語り合いですが、それぞれの経験を皆で分かち合うことでお互い勇気づけられ、癒されるのだなと感じました。

最後にチャプレンより、強制収容所から奇跡的な生還を果たしたユダヤ人ヴィクトール・フランクルの名著『夜と霧』より,「収容所は全てを奪うことができたが、たったひとつ、あたえられた環境でいかに振る舞うかという人間としての最後の自由だけは奪えなかった」という言葉が紹介されました。

失ったものばかりを考えていたら、我々は生きてはいけません。
 今ある環境の中で"生"の自覚をしっかりともち、自分の人生にはどのような意味と使命(ミッション)が与えられているのか、考えていきたいと思いました。