開催報告

第39回 若い糖尿病患者さんとのグループミーティングのまとめ(2)

新潟大学医歯学総合病院 小児科 小川 洋平 先生
(運営メンバー/ファシリテーター)

他人に理解してもらうこと

本日のグループミーティングは1型糖尿病のお子さんをもつ親御さんとご一緒しました。このグループの話題の一つが、「病気のことを、学校や周りの誰に、どう説明するか」でした。

私は小児科医です。お子さんが1型糖尿病と診断された時、親御さんから「どうして1型糖尿病になったのでしょうか?」と必ず聞かれます。私はこう答えます。「1型糖尿病にどうしてなったか、その原因はまだきちんとわかっていません。ただ今までの生活が乱れていたために、病気になった訳ではありません。1型糖尿病とは別の2型糖尿病は、食生活や運動不足が発症に大きく影響します。」

親御さんには、「原因がわかっていない」ことをわかってもらうともに、「今までの子育てが原因で1型糖尿病を発症したのではない」ことも知ってもらい、親御さん自身をいたずらに責めなくてもよいことを知ってもらいます。

1型糖尿病になったお子さんが保育園・幼稚園や学校に復帰するとき、保育園・幼稚園・学校の関係者と親御さんと私との、三者で話し合いの場を持ちます。その際、周りの人にどのようにお話するかも相談します。親御さんの中には、お子さん以上に「子どもの病気を他の人になるべく知られたくない」と思う方がおられますし、「他の人に正確にできるだけ深く理解してほしい」と強く思う方もおられます。1型糖尿病の発症頻度は低く、2型糖尿病と誤解されることを心配されるようです。世間では、糖尿病=2型=生活習慣病=不摂生、とのイメージが一般的ですから、子どもが糖尿病であれば家庭(親の子育て)の責任、と思われてしまうかもしれません(ちなみに、さほど気になる生活ではないのに2型糖尿病になってしまう方もおられますので、2型=生活不摂生、と考えないようにしましょう)。

他の人に自分や身内のことを正確に理解してもらうことは、病気に限らず大変難しいことだと思います。夫婦であっても、親子であっても「どうして自分のことをわかってくれないのか」と思うことが、私の場合、時々(しばしば?)あります。きっと妻も子ども、私に対して同じように思っているかもしれません。そんなときは、家族であっても自分の分身ではなく完全に理解してくれることは不可能であること、そうは言っても(それ故に)自分の気持ちを言葉に出して伝えることが大切であること、とつくづく思います。

病気というものは、自分や家族がその病気になって初めて理解できるようになることが多いと思います。世の中のすべての人に「1型糖尿病」の十分な理解を望むことは難しいかもしれません。が、糖尿病には種類があり、「1型」という病気もあるのだ、ということぐらいは知っておいてほしいと思います。

啓蒙・啓発は大切です。日本糖尿病協会など精力的に活動を行っている団体・組織もあります。そのような活動に患者さん自身が積極的に参加することは大変意義あることと思います。
その一方、周りの人に1型糖尿病の理解をどこまで求めるかと考えた場合、その望みが高すぎると、心の負担は重くなるとも思います。

本日のグループミーティングではそんなことを考えされられました。