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2007年05月08日

暑い日はペットボトル症候群に注意

 気温の高い日に野外に出ると汗をかく。冷えた清涼飲料水は□当たりがよく、つい飲みすぎてしまいがちだ。しかし、多量の糖質を含む清涼飲料水を飲む過ぎると「ペットボトル症候群」を引き起こす場合があるので注意が必要だ。

はじめて糖尿病とわかるケースも
 ペットボトル症候群という名称は俗称で、正式には「ソフトドリンクケトーシス」と呼ばれる。糖を多く含む清涼飲料水(ソフトドリンク)を大量に飲むことで高血糖になり、そのために喉が渇いてまた清涼飲料水を飲むという行為を繰り返し、著しい高血糖となってケトーシスに至るというもの。

 清涼飲料水を水代わりのように、1日に2〜3リットル飲む生活をしていた高校生が意識障害で病院に運ばれたケースが1990年代に報告され、ペットボトル症候群は社会問題としてて注目されるようになった。

 肥満傾向があり糖尿病の診断をまだ受けておらず、喉が渇くという症状が高血糖からくるものであることを知らない患者が陥りやすい。全身の倦怠感や眠気、多尿、のどの渇きといった自覚症状が現れて医療機関を受診し、はじめて糖尿病だとわかるケースもある。

喉が渇いてまた飲むという悪循環
 清涼飲料水に含まれている炭水化物は多くは糖類で、体内への吸収が早い果糖などの単糖類がほとんどだ。市販されている清涼飲料水の多くに、1ボトル当り15グラムから30グラムの糖分が含まれている。1.5リットルのペットボトルの場合は60〜130グラム。これはグラニュー糖の6グラム入りスティックで10本以上に相当する。

 糖質の過剰摂取が習慣となった人が高血糖の状態になると、のどが渇くためより多くの水分を摂取しようとする。糖質が含まれない水やお茶ではなく清涼飲料水を飲んだ場合、さらに多尿となり、のどが渇くという悪循環に陥ってしまう。

 その結果、インスリン作用が不足し、からだがブドウ糖を利用できない状態になると、代わりに脂肪や蛋白質がエネルギー源として使われる。そのときケトン体と呼ばれる毒性をもった代謝成分が血液中に発生する。体内にケトン体が蓄積すると、全身の倦怠感のほか、腸痛や嘔吐、場合によっては意識障害から昏睡に至ることがあり、早急な治療が必要となる。

 また、高血糖による多尿により脱水をきたすと、さらに高血糖になる。血液の浸透圧が上昇すると、からだの細胞の機能に異常が現れる。脳は高浸透圧の異常による影響を受けやすい。ひどい場合には意識がなくなるので、やはり早急な治療が必要となる。

のどが渇いたときは、水やお茶で水分補給を
 糖尿病患者や高血糖を指摘された人は、水分の取り方についての注意が必要だ。健康志向の高い人が増えた影響で、現在は「カロリーオフ」や「カロリーゼロ」などと表記した商品が増えている。

 こうした商品の多くは糖質の量を少なくしたり、体内で吸収しにくくエネルギーになりにくい甘味料を使っているが、エネルギーがないということではない。「カロリーオフ」は100ミリリットル当りのエネルギーが20kcal以下の場合に、「カロリーゼロ」は5kcal未満の場合に表示できる。

 また、子供や10代から20代の若い世代が、糖質の多く含まれる清涼飲料水を大量に摂取すると、肥満や2型糖尿病などの生活習慣病につながる。

 糖質が入っていなくても、脂質などが含まれれている場合もある。エネルギーが高い成分が入っていれば、糖尿病患者にとっては血糖値を上げるきっかけになる。

 海外の動きをみると、米国で子供の肥満が増えており、将来に2型糖尿病などの増加につながると社会問題になっていることを受け、清涼飲料の業界団体が昨年、公立小中学校でコーラなどのエネルギー量、炭水化物、脂肪の多い清涼飲料水の発売を全面的に停止することを発表した。今年の新学期から全米の75%の学校で販売をやめ、今年の夏休み後の新学期から全面停止するという。

低血糖のときは
 低血糖の症状があらわれたら、まずブドウ糖(なければ砂糖)を口にすることが有効。このとき、固形食は咀嚼・嚥下・吸収に時間がかかるが、ブドウ糖が多く含まれる清涼飲料水は吸収が早い。必要に応じて摂取するものを選ぶことが大切。

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[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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