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2013年08月15日

1型糖尿病の新しい治療薬を開発 自己免疫を抑えβ細胞を保存

インスリン産生レベルの低下が75%改善
 試験には、1型糖尿病と診断されて8週間以内の患者52人が参加した。大半が14歳以下だった。研究チームは、teplizumabの投与を2週間行い、さらに1年後にも投与した。teplizumabによる治療を行わなかった患者と比較し、空腹時血中Cペプチド値などの検査を行い、インスリン自己分泌にどれだけの差が出たかを比較した。

 その結果、teplizumabを投与した患者の半数は、インスリン産生レベルの低下が2年間にわたり抑えられていることが確かめられた。teplizumabを投与した群ではCペプチド値がマイナス0.28nmol/Lだったのに対し、投与しなかった群ではマイナス0.46nmol/Lとなり、改善率は75%に上った。もっとも効果のあったのは、発症した時点でインスリン産生が比較的保たれており、インスリン療法による血糖コントロールが良好な患者だった。

 「1型糖尿病を発症して間もない患者の多くで、インスリン自己分泌は残存しています。1型糖尿病の診断を早期に行い、自己免疫反応を防ぐ治療を行えば、β細胞が破壊され続けるのを防ぐことができます。1型糖尿病の新しい効果的な治療法となる可能性があります」と、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の特別教授(ディスティングイッシュトプロフェッサー)であるメアリー クラウセン氏は述べている。

 研究チームは、さらに規模の大きい第3相臨床試験の準備を始めている。teplizumabは、インスリン療法が必要な1型糖尿病に加えて、インスリン療法を必要としない糖尿病予備群(pre-diabetes)も対象に、β細胞が減りはじめた時点での予防的治療としての使用も検討されているという。

Type 1 Diabetes Drug Proves Effective in Clinical Trial(カリフォルニア大学 2013年8月7日)
Teplizumab (anti-CD3 mAb) treatment preserves C-peptide responses in patients with new-onset type 1 diabetes in a randomized controlled trial: Metabolic and immunologic features at baseline identify a subgroup of responders(Diabetes 2013年7月8日)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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