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2014年02月28日

高齢者の糖尿病 糖尿病と上手に付き合い元気に長生きする

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糖尿病の治療を続ければ合併症を予防できる
 血圧やコレステロールのコントロールと同じように、良好な血糖コントロールを維持することで、将来に糖尿病合併症を発症するのを防ぐことができる。

 「糖尿病の治療には、すべて科学的な裏付けがあります。続ければ必ず大きな成果を得られます。主治医は、治療ガイドラインに合わせて、あなたに食事療法や運動療法、薬物療法に取り組むよう指導します。それらを実行すれば、合併症を高い確率で防げることが、多くの調査研究で確かめられています」(タラク氏)。

 毎日のわずらわしい生活の中で、食事や運動に取り組むために、多くのことを学ばなければならないし、時間と辛抱強さが求められる。インスリン療法を行っている患者にとっては、指を穿刺して採血する血糖自己測定(SMBG)も行わなければならない。

 「良い血糖コントロールを保つことで、糖尿病網膜症や腎臓病、神経障害などの合併症を40%減らすことができます。これに血圧コントロールが加われば、心臓病のリスクを33%、脳卒中のリスクを50%、それぞれ減らすことができます」と、タラク氏はアドバイスしている。

 体のコンディションを良くすることは、例えば骨粗鬆症の予防など、糖尿病以外のことにも有用だという。糖尿病の治療は、健康的な生活を推進することを意味しているので、「治療を続けることで、糖尿病でない同年配の人よりもむしろ健康的になった」という人は珍しくないという。

合併症は少しずつ進行する 毎日の自己チェックが重要
 毎日の自己チェックは、糖尿病を原因とする足病変を治療し予防する「フットケア」ではとりわけ重要だ。

 糖尿病患者の足病変(潰瘍・壊疽)は、血糖コントロール不良にともなう神経障害、血流障害、感染症などが関連し起こる。米国疾病予防管理センター(CDC)は、眼科医の受診や腎臓病の検査を受けるのと同じように、足のチェックを定期的に行うことを勧めている。

 靴に覆われた足は、靴ずれや胼胝(たこ)、水虫などのトラブルを起こしがちだ。日常生活で足に気を使うことはあまり多くはないが、糖尿病を発症すると、足の手入れと早期発見と早期対処が非常に重要になる。もしも足に水ぶくれや切り傷などが起きている場合は、早く治療しないと大きな問題に進展するおそれがある。

 また、腰痛や関節痛が起きている場合は、思った通りに買い物に出たり料理をするのが難しくなり、理想から遠い不健康な食事しかできなくなるかもしれない。あるいは、糖尿病網膜症のために視力が低下し、薬のラベルや血糖測定器が表示する検査値を読みとれなくなるおそれもある。

 「食事療法や運動療法、薬物療法を続けるを難しくする問題を抱えている場合に、すぐに相談できる相手をもつことは重要です。医師に相談できない場合は、看護師や療養指導士に話してみてください。また、ご自分の気持ちを伝えられる家族や友人、患者会などの身近な人々は大きな支えになります。低血糖が起きたときも、家族の適切なサポートが必要です」。

 「必要なときに、適切な支援を得ることで、あなたは自分自身で糖尿病をより良くコントロールできるようになり、より健康的な生活をおくれるようになります。そのために、協力を得られる人が周囲にいることが重要です」と、強調している。

Diabetes In Older People―A Disease You Can Manag(米国国立老化研究所 2014年2月13日)
2011 American Society of Consultant Pharmacists (ASCP) Annual Meeting and Exhibition(Annals of Long Term Car 2012年1月16日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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