ニュース

2014年05月20日

ゆっくり良く噛んで食べると太りにくい 消費エネルギーが増加

キーワード
食事療法
よく噛んで食べると摂取エネルギーを抑えられる
古くから親しまれてきた「ひじき」や「おひたし」は咀嚼回数を増やせる食品の代表
 別の研究では、ゆっくり食べることで、摂取エネルギーの10%を減らすことができることが明らかになった。米国栄養・食事療法学会誌に発表された。

 「満腹感は、脳が感じるものです。食事をしてから胃から脳の満腹中枢に信号が伝わるまでに20分の時間がかかります。この20分間の食べ方を工夫すれば、食べ過ぎを防ぐことができます。脳内物質の働きとして内臓脂肪の分解を促進することも知られています。よく噛んで、ゆっくり食べることで、満足感を得やすくなるのです」と、テキサス クリスチャン大学のミーナ シャー氏(運動生理学)は話す。

 食事の速度とエネルギー摂取の関連を調べるために、研究チームは35人の標準体重の男女と、35人の肥満または過体重の男女を対象に、2日間の実験を行った。

 被験者を2つのコンディションで同じ食事をしてもらった。「ゆっくり食べる」ときには、1口の量を少なめにし、噛む回数をふやしてもらい、「早く食べる」ときには、1口の量を多めにし、早く飲み込んでもらった。

 ゆっくり食べるときには、ひとつの食品を1口食べた後で、スプーンを下に置きひと呼吸をおいて、噛むことに意識を集中してもらった。

 その結果、食事の所要時間の平均は、ゆっくり食べた場合には22分で、早く食べた場合には半分以下の9分になった。

 また、ゆっくり食べた場合と、早く食べた場合とでは、摂取エネルギーに差が出た。標準体重の人では88kcal、肥満または過体重の人では58kcal、それぞれ摂取エネルギーが減少した。これは摂取エネルギー全体のほぼ10%に相当するという。

食事時間や噛む回数が減ったことが肥満の原因
 世界中では成人の3人に1人以上が肥満または過体重で、その数は14億6,000万人に上る。特に、肥満は途上国でも急増している。1980年から2008年の間、途上国における肥満や過体重の人は2億5,000万人から9億400万人に増えたと報告されている。

 肥満や過体重がふえた原因のひとつとして、「食事で軟らかいもの、食べやすいものが増え、食事時間や噛む回数が減っている」ことが考えられると研究者は指摘している。

 「よく噛んで食べることは、誰でも簡単に取り組める、もっとも手軽なダイエット法といえます。食物繊維の多い噛みごたえのある食材や料理を多くすることで、咀嚼回数を増やすことができます」(シャー氏)。

 また、デスクでインターネットやテレビ、新聞を見ながらでは、食事や噛むことに集中できないので、勧められないという。家族や友人と一緒にゆっくりと食事を楽しむと効果的だ。

東京工業大学大学院 社会理工学研究科 人間行動システム専攻
Slower-Paced Meal Reduces Hunger but Affects Calorie Consumption Differently in Normal-Weight and Overweight or Obese Individuals(米国栄養・食事療法学会誌 2013年12月30日)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

play_circle_filled 記事の二次利用について

このページの
TOPへ ▲