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2014年08月13日

「乳清」が食後血糖値を改善 ホエイプロテインの驚きの効果

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食事療法
 朝食前にヨーグルトやチーズで作られる「乳清」(ホエイ)を摂取すると、食後高血糖を改善できる可能性があるという研究が発表された。過去の研究で、牛乳やヨーグルトを摂取すると、糖尿病リスクを低減できると発表された。そのメカニズムの一端が明らかになりそうだ。

 「乳清」(ホエイ)とは乳酸菌発酵液のこと。ヨーグルトやチーズ製造を作るときにできる副産物が乳清だ。

 乳清は、日本ではヨーグルトやチーズを加工した後に取り除かれ、多くの場合で廃棄されているが、欧州では脂肪を除去した後で食用に加工されている。

 乳清は低カロリー・低脂肪で、タンパク質の合成を促すアミノ酸が豊富に含まれている。

乳清タンパク質がGLP-1の生産を刺激
 研究は、イスラエルのテルアビブ大学やスウェーデンのルンド大学などの研究チームによるもので、欧州糖尿病学会が発行する医学誌「ダイアベトロジア」に発表された。

 炭水化物の摂取前に野菜を摂取すると、インスリン分泌を刺激する消化管ホルモンであるグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の生産を刺激することが知られている。

 タンパク質においても同様の現象がみられ、過去の研究では、食前に大豆タンパク質を摂取すると、食後高血糖を抑えられることが報告されている。

 今回の研究は、2型糖尿病の患者15人を対象に行なわれた。いずれも薬物療法で血糖コントロールを行っている患者で、スルホニル尿素薬あるいはメトホルミンを服用していた。

 研究チームは、参加者を2つのグループに分けて、50gの乳清タンパク質を250mlの水に溶かしたもの、またはプラセボ(250mlの水)を朝食前に飲んでもらい、2週間を空けて今度はそれぞれの飲み物を交換するというクロスオーバー試験を行った。

乳清を飲んだ群でインスリンとC-ペプチドの反応が上昇
 乳清タンパク質(またはプラシーボ)を飲んだ後に、朝食をとってもらった。食事の内容は、精白した小麦を原料とする白パンと糖分の入ったゼリーという、食後の血糖値が上昇しやすいものだった。

 朝食の30分前と、朝食を食べたとき、および食後15分後から180分後の30分おきに血液サンプルを採取し検査をした。

 その結果、乳清タンパク質群はプラセボ群に比較して、食後180分間常に血糖値が28%減少していた。乳清タンパク質群では、インスリン反応(105%)とC-ペプチド反応(43%)も有意に上昇していた。

 特に早期インスリン反応は、乳清タンパク質群(食後30分以内)では、プラセボ群に比べ96%上昇していた。糖尿病患者にとって、早期インスリン反応の低下は深刻で、血糖値が食後に上昇する要因となる。

食後高血糖が糖尿病合併症の危険性を上昇
 食事で摂取されたブドウ糖は、腸で吸収されて血液中に移行し、エネルギーとして利用される。そのため、食事をすると一時的に血糖値が上昇する。

 健康な人の場合、食後2時間もすれば血糖値は140?/dL未満に低下するが、糖尿病の人では血糖値が低下せず、140?/dL以上の高い値が続くことがある。このような「食後高血糖」は、重大な合併症が発症する危険性を上昇させることになる。

 「乳清タンパク質は、食後の血糖値の上昇を抑え、血糖コントロールを助ける新たなツールとなるかもしれない」と、テルアビブ大学のダニエラ ジャクボヴィッツ教授は話す。

 現在研究チームは、乳清タンパク質摂取が血糖・インスリン・GLP-1に及ぼす有益な効果が長期間持続するかどうかを確かめるため、長期の臨床試験を検討している。乳清を使った医薬品の開発も視野に入れているという。

A New “Whey” to Control Diabetes(テルアビブ大学 2014年8月5日)
Incretin, insulinotropic and glucose-lowering effects of whey protein pre-load in type 2 diabetes: a randomised clinical trial(ダイアベトロジア 2014年7月10日)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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