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2015年05月08日

緑茶とコーヒーを飲むと心臓病や脳卒中のリスクが低下 JPHC研究

 緑茶やコーヒーを毎日多く飲むと、心臓病や脳卒中、呼吸器疾患などで死亡するリスクが低下することが、国立がん研究センターなどが実施している多目的コホート研究「JPHC研究」で明らかになった。
 「JPHC研究」はさまざまな生活習慣と、がん・脳卒中・心筋梗塞などとの関係を明らかにする目的で実施されている多目的コホート研究。今回の研究では、40〜69歳の男女約9万人を対象に1990年または1993年から2011年まで追跡調査した。

 平均19年の追跡期間中に1万2,874人が亡くなったが、その内訳は5,327人ががん、1,577人が心疾患、1,264人が脳血管疾患、783人が呼吸器疾患、992人が外因による死亡だった。

緑茶を毎日飲むと死亡リスクが低下
 結果を解析したところ、緑茶を1日1杯未満飲むグループを基準として比較した場合、1日3〜4杯摂取したグループと1日5杯以上摂取したグループの全死亡リスクは、それぞれ男性が「0.88」「0.87」、女性が「0.87」「0.83」となった。つまり緑茶を1日3〜4杯を飲む人と5杯以上を飲む人では死亡リスクが、それぞれ男性で12%、13%、女性で13%、17%も低下したことになる。
 男性では1日3〜4杯、1日5杯以上を摂取していた人では、脳血管疾患の死亡リスクがそれぞれ29%、24%低下した。呼吸器疾患の死亡リスクでは、それぞれ28%、45%低下した。また、女性でも緑茶を1日3〜4杯、1日5杯以上摂取していた人では、心疾患の死亡リスクがそれぞれ26%、37%低下していた。

 なぜ緑茶を摂取すると死亡リスクが低下するのか? 研究チームは、(1)緑茶に含まれるカテキンに血圧や体脂肪、脂質を調節し、血糖値を改善する効果がある、(2)緑茶に含まれるカフェインが血管内皮の修復を促し、血管を健康に保つ、(3)カフェインに気管支拡張作用があり、呼吸器機能の改善効果がある――と説明している。

 また、緑茶を摂取すると女性の外因死リスクが低下する傾向がみられる点については、緑茶に含まれるテアニンやカフェインが認知能力や注意力の改善に効果があるのではないかと推測している。別の研究では、緑茶と女性の胃がんリスク低下との関連も示唆されているという。

コーヒーにも死亡リスク低下の効果
 コーヒー摂取と死亡リスクの関連についても、「JPHC研究」による追跡調査から明らかになった。研究開始時のコーヒーを飲む頻度に関する質問への回答から、調査対象者をコーヒーを飲む量に応じて分類し、その後の全死亡および心疾患や脳血管疾患などによる死亡との関連性を調べた。

 その結果、コーヒーをほとんど飲まないグループを基準として比較した場合、全死亡リスクは1日1〜2杯飲むグループでは「0.85」、3〜4杯飲むグループでは「0.76」になった。つまり、コーヒーを1日1日1〜2杯飲む人と3〜4杯飲む人の死亡リスクは、全く飲まない人に比べそれぞれ15%、24%低いことになる。

 死因別についても心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患については、コーヒー摂取による有意なリスク低下が見られた。死亡リスクは、コーヒーを1日1〜2杯飲む人では、心疾患では23%、脳血管疾患では23%、呼吸器疾患では37%それぞれ低下した。1日3〜4杯飲む人では、心疾患では36%、脳血管疾患では43%、呼吸器疾患では40%それぞれ低下した。

 研究チームは、血糖値を改善し、血圧を調整する効果があるとされているクロロゲン酸や、血管内皮の機能を改善する効果があるとされているカフェインがコーヒーに含まれていることが、今回の結果につながったのではないかと推測している。

 なお、コーヒーを飲むと肝がん、膵がん、女性の大腸がんと子宮体がんのリスクが低下するとの研究報告もあるという。

多目的コホート研究「JPHC Study」(国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究グループ)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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