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2017年07月01日
SGLT2阻害薬が心血管疾患を減少 同系薬で幅広い心保護作用を確認
SGLT2阻害薬が既存の心臓血管疾患に対し幅広い有益性をもつことが、国際的な大規模研究「CVD-REAL試験」で明らかになった。
SGLT2阻害薬以外の血糖降下薬で治療した患者と比較して、心臓血管疾患を発症した患者では、8ヵ月後に心不全による死亡率が31%低下したことが判明した。同様に、心血管疾患を発症していない患者(全集団の87%を占める)では、全死因死亡率は45%低下した。
SGLT2阻害薬以外の血糖降下薬で治療した患者と比較して、心臓血管疾患を発症した患者では、8ヵ月後に心不全による死亡率が31%低下したことが判明した。同様に、心血管疾患を発症していない患者(全集団の87%を占める)では、全死因死亡率は45%低下した。
SGLT2阻害薬が心不全リスクを低下
SGLT2阻害薬を2型糖尿病患者の治療に使用すると、既存の心血管疾患の有無にかかわらず、心不全の死亡率および入院率が低下することが、5か国の30万人以上の2型糖尿病患者を対象とした大規模研究である「CVD-REAL試験」で明らかになった。詳細は6月に開催された第77回米国糖尿病学会学術集会で発表された。
心血管疾患のリスク減少はSGLT2阻害薬に共通した「クラス効果」
昨年発表された「EMPA-REG OUTCOME試験」でもSGLT2阻害薬の治療効果を検証しているが、CVD-REAL試験では心血管疾患を有する2型糖尿病患者を対象としており、その一次予防の可能性も示されたのは画期的だ。
「この研究は、糖尿病患者の転帰を改善するためのSGLT2阻害薬の可能性を示す新たなエビデンスとなります」と、ノースカロライナ大学医学部助教授のマシュー カベンダー氏は言う。
「心血管疾患の合併に関わらず、SGLT-2阻害薬が全ての2型糖尿病患者に有益である可能性が示せたことで、今回の研究は一歩進んでいます。心血管疾患のリスク減少作用はSGLT2阻害薬に共通した"クラス効果"である可能性が強まりました」としている。
過去の調査では、糖尿病患者ではそうでない患者に比べ、心不全のリスクが30%高いことが示されている。今回の知見は、SGLT-2阻害剤の使用が糖尿病患者の心不全の発症率を低下させる可能性があることを示唆している。
なお研究者は、SGLT2阻害薬による進行中の無作為化臨床試験では、臨床効果に関してより多くの追加情報を提供する必要があると指摘している。この研究のフォローアップでは、他の重要な臨床事象に対するSGLT2阻害薬の有効性をさらに評価し、糖尿病患者と心血管イベントの既往歴のある患者を対象に、他の薬物との関連性を評価する研究に焦点を広げる予定だという。
SGLT2 Inhibitors are Associated with Reduced Cardiovascular Disease for Patients with Type 2 Diabetes(米国糖尿病学会 2017年6月13日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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