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2026年06月08日

食生活を見直すヒントに 「栄養素の組み合わせ」と死亡率に関する調査結果

 日常の食生活と健康の関わりを調べる際、特定の食品そのものを対象とするアプローチのほかに、統計的な手法で割り出した「栄養素の摂取パターン」を指標とする研究がある。徳島大学などの研究グループは、この摂取パターンと、日本人集団における全死亡率および死因別死亡率(循環器疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患、がん)との関連性を調査した結果を発表した。統計的に抽出した栄養素パターンと死亡率との関連を日本人集団で示した報告は、これが初めて。

なぜ「栄養素のパターン」に着目するのか

 私たちが日々口にする食事には、多種多様な栄養素が含まれている。理にかなった食生活を考えるにあたり、食品そのものではなく「栄養素」をベースに考えることにはいくつかのメリットがある。

●体が働く仕組みを理解しやすい:その栄養素が体の中でどのように作用しているかという「仕組み(機序)」を考察する際に役立つ。
●国際的な比較がしやすい:栄養素は世界共通の指標であるため、国内外の異なる地域で行われた研究データとも比較・適用しやすい。

 これまで、栄養素のパターンと心血管疾患の危険因子や非感染性疾患との関連性は検討されてきたが、死亡率との直接的な関連性については十分に分かっていなかった。

約7.3万人を11年以上追跡した大規模調査

 本研究は、日本人の体質や生活習慣が生活習慣病にどう影響するかを解き明かす、国内の大規模プロジェクト「日本多施設共同コーホート研究(J-MICC STUDY)」の一環として行われた。

 このプロジェクト全体では、日本国内の約10万人を20年間にわたって追跡調査している。今回の発表は、その膨大なデータベースの中から、データが揃っている35〜69歳の日本人約7.3万人を対象に、平均11.7年間に及ぶ追跡結果を詳しく解析したものだ。

●対象者:35歳〜69歳の日本人72,939人(男性31,932人、女性41,007人)。
●解析方法:年齢や性別といった、結果に影響を与える可能性のある他の要因(交絡因子)の影響を統計的に除いたうえで、イベント(死亡)が発生するまでの時間や危険度を分析する手法(Cox比例ハザードモデル)を用いて解析を行った。
●追跡期間:平均値は11.7年。

2つの主要な栄養素パターンと健康への影響が明らかに

 解析の結果、主に次の2つの栄養素パターンにおいて、死亡率との有意な関連が示された。

1.野菜や果物に多い栄養素の組み合わせ(パターン1)
 このパターンには、葉酸、カロテン、食物繊維、ビタミンC、カリウム、鉄、レチノールといった栄養素が含まれる。解析の結果、このパターン1の摂取スコアが高い人は、全体的な死亡率(全死亡率)をはじめ、循環器疾患や脳血管疾患による死亡率の低下に関連がみられた。また、がんによる死亡率の低下との間にも、わずかながら関連がみられた。研究グループは、死亡率低下の仕組みとして、含まれる抗酸化物質や食物繊維の働きが関係しているのではないかと考えている。

2. 魚や植物油脂に多い栄養素の組み合わせ(パターン2)
 このパターンには、不飽和脂肪酸ビタミンEが含まれる。注目すべきは、このパターン2においては摂取量が重要であるという点だ。解析では、このパターンの「適度な摂取」が全死亡率やがんによる死亡率の低下と関連していることが示された。研究グループは、死亡率低下の仕組みとして、含まれるビタミンEオメガ3系多価不飽和脂肪酸などの働きが関係していると考えている。
 しかし一方で、このパターンのスコアが高い(多く摂っている)ことと、脳血管疾患による死亡率の上昇との間に関連がみられることも明らかになった。これについて研究グループは、このパターンのスコアが高い状態は「高脂肪食の摂取」と関連しているという報告があるため、スコアが高いと高脂肪食の摂取を介して脳血管疾患による死亡に繋がると考えている。 なお、これらとは別の栄養素の組み合わせである「パターン3」や「パターン4」については、全死亡率や原因別の死亡率との間に関連はみられなかった。



 本研究は、日本人集団において統計的に抽出した栄養素パターンと死亡率との関連を示した初めての報告とされている。研究グループは、今後も日本人における食事、栄養素と健康との関連についてさらなる研究を進め、日本人にとってより良い食事について理解を深めることにより、国民の健康増進に貢献していきたいとしている。毎日の食事と健康との関わりを考えるための貴重な知見として、今後の研究のさらなる進展が期待される。

■参考

[ DM-NET ]
日本医療・健康情報研究所

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